冬は小数点

 

 千成や忘年会の鍋つつく

10、9、8、7、……
寒くなると、ふとんが恋しく、
朝、起きるのが億劫(おっくう)になります。
あと10数えたら起きようと決心し、
10、9、8と、ゆっくりゆっくり数えても、
残酷にもやがて0がやってきて、
起きる羽目になってしまいます。
ところが。
小数点という画期的なものを学校で習い、
朝の風景ががらりと変ります。
始まりは同じ。
10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、
むふふふふ。
つぎに0が来ると起きなければなりませんが、
小数点を習うことによって、
3、2、1、0.9、0.8、0.7、……
あはははは。画期的!
0.3、0.2、0.1、やばい! 0が来るー!!
だいじょうぶ!
0.09、0.08、0.07、……
限りなく0に近づきますが、
永久に0は来ません。
0.01が来たら、また0.009とやればいいんですから。
と。
「いづまで寝でるの! はえぐ起ぎれ!」
0は来ませんが、
母の声が飛んできます。

 忘年会空中ブランコ忘年会

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