Archives : 6月, 2008

鼻くそイケメン

 蛍火や近づくほどの水の音
 今をときめくエド・はるみさんも出たという明治大学に行ってまいりました。
 御茶ノ水駅で降りて徒歩5分ぐらいのところにある、大学とも思えない立派な建物がそれなのですが、いくつか建物があって、約束の時刻までそんなに間がなかったものですから、これは聞くほうが早いと思って、階段を下りてくるスーツ姿の髪の長い少々色黒のストライプのシャツを中に着た背の高いイケメン(階段の下で尋ねたわたしに覆い被さってくるような、そんな感じでした)に、目的の建物を尋ねたところ、イケメンっぽく、指を立て、ササッと教えてくれ、髪をなびかせて階段を下り、御茶ノ水駅方面に歩いていきました。
 階段の下にいたので目に入ったのかもしれませんが、かのイケメンの鼻の中に、微かな鼻くそが乾いて風になびくような具合で付着していました。
 生身の人に接した気がして、なんだか楽しくなりました。

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我田引水

 梅雨染みて気功の朝や遠鴉
 こちらでは梅雨らしくそれなりに雨が降っていますが、ふるさと秋田では晴天がつづき、水不足になっているようです。
 我田引水ということばがあります。我が田に水を引く。
 むかし学校で習った教科書に、田んぼの畦に片膝立てた農夫が団扇で顔を煽いでいる姿が描かれていました。人がいなくなった頃合を見計らって、貴重な水を自分の田んぼに引くのです。
 水の奪い合いをなくすために、協同で灌漑用水路が作られるようになって、自分のところだけよければいいという我田引水は少なくなりました。

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かるみ

 梅雨の駅こちらは男性トイレです。
 本を売り、CDを売り、小金を集めてプリアンプを買い換えました。
 ラックスマンのC-8fが下取りでけっこうな金額になったのも幸いし、ボルダーの810が新たに加わりました。
 ひとことで言って、こんなに音が変わるとは思いませんでした。今までの音が重戦車なら、今度の音は軽飛行機。とにかく軽い軽い。
 セット後、まずサム・クックの『ナイト・ビート』を聴いたのですが、サムの声が細かい粒子となって空中から降ってくるようです。ふわ〜っと、なんとも言えない心地よさ。音のシャワー、セラピー。こころまで軽くなるようです。
 重いものや傷を腹に据え、それが癒え消化するのをじっと待ち、そのものの意味を味わうことも大切ですが、今は、とにかく軽みが心地よく、ふんわりふわふわしていたい。(ふんわり名人もブームだしね)
 本もどんどん売って、最終的に残るのは、大菩薩峠と新井奥邃と大辞林と歳時記かな(笑)、なんて思っている今日このごろです。

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話をきく

 ふやけ足梅雨に濡れゐし道三里
 今、『世間師・宮本常一の仕事』という本をつくっています。
 世間師は、せけんしと読んだり、しょけんしと読んだりします。ふつうには、せけんしでしょうね。
 いろんなところへ旅をして見聞し、知識を獲得し、だけでなく、訪れた土地の人々に有益な助言をなす人のことを指します。
 宮本さんは、世間師と呼ぶにふさわしい人でした。「エライ」民俗学者として何十巻にも及ぶ全集も出ていますが、宮本さんに関する今回の本を編集していて、宮本さんエライなぁと思うのは、人の話をよく聞くことです。
 著者の斎藤さんは指摘しています。ほかの学者は、自分のテーマを持って、それに合った話を聞き出して終わりだけれど、宮本さんは違う…。宮本さんだってテーマがないわけではなく、ちゃんとあるけれど、宮本さんの話の聞き方は、テーマに合った話を聞き出すだけで終わらない。宮本さんに対面すると、みんな話したくなるんですね。その違いはどこから来るのでしょう。そのことをこの本では書いています。
 斎藤さんは、愛知県安城市の市役所勤めをしておられます。学生の時に宮本の本を読み、感動し、ずっと読んで来られ、自分のなかであたためてきたものを今回、このような本にまとめます。民俗学にとくに興味のない人が読んでもおもしろい、ためになる本です。ためになる、というよりも、勇気が出る、といったらいいでしょうか。
 学問でなくても、人の話を聞くことは、毎日だれでもやっていることですが、簡単なようでとても難しいことだと思います。

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詠むは読む

 紫陽花や骨折の肩しくしくと
 俳句をやってみようかなと、ふと思い、始めてから間もなく1年が経ちます。まだ1年しか経っていないの、という感じです。精進が足りないので、時間がゆるく感じられるのでしょう。
 俳句になっているのかどうかもわかりません。句会に入ったほうがいいのかもしれませんが、それもその時の縁と気分次第といったところです。
 1年経って思うのは、自然の移り変わりを以前に比べて意識するようになったかなということです。365日を四等分して季節とし、さらに初、盛、晩を付けても十二区分しかありませんが、時々刻々、自然は移り変わっていくものなのですね。人間もそうなんだなぁと思います。
 そんな感じで、これからも続けていくと思いますので、お付き合いいただければ幸いです。

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。