広瀬川狂った空の暑さかな
午後、郵便局へ行きました。朝のうちの雨が上がり、清清しい空気に充ちています。
局では他に客が二人しかおらず、用事はすぐに終わりました。入口で挨拶してくれる頬っぺの紅いおじさんは、例のごとく。ありがとうございました! あ、どうも…。
信号が変わってスクランブル交差点を渡り始めたときです。十円玉が落ちているのが目に入りました。しゃがんで拾おうとして近づいて見たら、なんと、十円玉は道路の面にまったく同化して、ちょうど「ど根性ガエル」のような状態になっていました。
へ〜! は〜! おもしれ〜!! なんて、感心していたら、クラクションにおどかされました。
おっと、とっくに信号が変わっていたか。
あの十円玉、人や車につぶされたってあんなふうになるものではありません。きっと道路工事のとき、ローラーの運転手か傍で働いていた人がたまたま落として、それがローラーでつぶされたものと思われます。
今度、アレだけをねらって、すばやく写メールを撮るか。
蚊が一匹汗ばむ首に留まりぬ
一日中、校正をしておりました。途中、電話をかけたり、もらったり、食事に出たり、トイレに行ったりもしますが、基本的には机に向かって校正・校閲です。
ずっと文字を追いかけているので、家に帰って本を読む気がしなくなります。本のない生活にあこがれるのは、仕事柄かもしれません。
あやめ見て空飛ぶじゅうたん急降下
再読しないと思われる本を次つぎ古書店に買い取ってもらっていますが、売る前に、参考のためにと思って、「日本の古本屋」やアマゾンのマーケットプレイスを検索していると、1冊が十数万するものが相当あります。これからは、そのことを踏まえて売ろうと思います。
若い頃は本に囲まれた生活にあこがれましたが、今は、本のない生活にあこがれます。わがままですね。
粗大ゴミ初夏の空気と入れ替えに
『わしといたずらキルディーン』の装丁について、りなちゃん姉妹の意見も聞きたくて、先日、ご自宅にお邪魔しました。すてきなお家です。
二つの案を見せ、どっちがいいと思う? と尋ねたところ、姉妹、間髪入れず同時にピッ! 第1案の方を指差しました。第1案は会社でも圧倒的な支持を集めたものだったので、安心しました。「わしがいい!」と。
りなちゃんのお母さんがカッターナイフ、厚紙、モノサシを用意してくださり、出力紙のトンボに当ててカットしようとしたときです。トンボは外トンボと内トンボがあるので、内トンボに当てて切ってくださいと言いました。トンボなんて言葉は、出版関係、デザイン関係の仕事についている人でもなければ、普通つかいませんからね。「こっちですか?」「いや、内側のトンボですから、こっちです…」
そのやりとりを見ていたりなちゃんが、さもさも心配そうに、「ママ。やめたほうがいんじゃないの…」と言いました。いたわるように、優しく、教え諭すように。
思わず、大笑いしてしまいました。どっちがママか分かりません。大笑いするわたしを、りなちゃんは不思議そうな眼で見ていました。
りなちゃんのママに代わって、わたしが紙をカットしました。
水浴びて清々と刺繍のさくらんぼ
自治体によって異なるのでしょうが、わたしが住んでいるここ横浜市保土ヶ谷区では、月曜日は「燃えるゴミと燃えないゴミ」の日(だったら、全部じゃねーか!?)で、紙は燃えるから、雑誌は出していいのだなと思いきや、それはダメなんだそうで、月2回の資源ゴミ回収の日に出すんだそうです。
事ほど左様に、分別を強調する割りには、判断に迷う場面が多い。
一番の問題は、一般的な分別の仕方から説明するから混乱をまねきます。
紙の例でいうと、まず、新聞・雑誌・書籍について、月に二回の何曜日と何曜日に出しなさいと指示するべきです。こういう説明の、特殊な例からはじめるという基本的なことが出来ていないから、皆迷ってしまいます。
杜青葉狂った空の暑さかな
お金をどこに使うかというのは、個人でも会社でもいつも悩む(と言っても、それほどでもありません。だいたい勘、そのときの気分)ところですが、今の、またこれからしばらくの広告宣伝費はホームページに割かれるべきなのでしょう。
新聞広告が取れなくなっていることを、いろいろな場面で耳にしますが、広告宣伝が新聞からネットに移行し、同時にお金も移動しているようです。業界紙で、なんだかよく分からない、意味不明な広告を目にすることが多くなりましたが、広告のスペースを空白にするわけにもいかず、苦肉の策としてやったものかと思われます。
ホームページというのは、両刃の剣で、作り手の意図したこと以上のものが見る側に伝わってしまうのですね。そこが面白いから、よく見られるのでしょう。ホームページで相当のことが分かって、バレてしまいます。
昨日、何度目かの小社ホームページ・グランドリニューアルの打ち合わせをしました。智恵を出し合っていいものを作ろうという、もわもわっとした感じ(気)が醸成され、目録新聞とおなじく、こりゃいいものができるぞー! の感をつよく持ちました。作ってくれるのは、もちろん多聞君です。
コンコンと蟻が莉奈の脚蹴った
りなちゃんは普段どんな暮らしをしているのだろうと興味が尽きません。
このあいだの日曜日、半べそをかきながら家に帰ってきたそうです。りなちゃんのお母さんがあわてて、「どうしたの?」ときくと、「いま、そこで、アリにけられた!」と、すりむいた膝小僧をなでながら、りなちゃんが言ったそうです。「蟻に?」。「そう。アリに…」
キックボードで遊んでいたら、だれかに蹴られてからだのバランスをくずし、ころんでしまったのだとか。振り向いたら、そこに蟻がいたそうです。
そのことを写真家の橋本さんと話していたら、橋本さん、「どんな風に蹴られたんだろうね?」
さっそく、りなちゃんのお母さんにそのことを伝えると、お母さんが、りなちゃんに聞いてくれたそうです。
すると、りなちゃん、スッとしゃがんで、床をコンコンと叩いた。なおかつ、「そのアリおどろいて、こんなかおをしたよ」と、驚いた蟻の顔を真似して見せてくれたのだとか。お母さん、爆笑したそうです。
その顔を今度会ったときに見せてもらおうと思っています。