鶏の糞の臭い

 ジャスミンの壁一面に匂ひけり
 『僕の解放前後 1940-1949』という韓国の翻訳本を編集しているが、著者である柳宗鎬氏の子供時代の思い出が生き生きと描かれている。韓国では有名な作家で、すでに著作集も出ている。日本語による出版は初めて。
 あげれば切りがないが、著者が少年の頃、子供達の間で流行った遊び(どこの国でも、子供たちはいつも変な遊びを発明しては、勝手にはしゃぐものらしい)があって、冬の寒いときに手の甲を激しくこすり合せて臭いを嗅ぐというもの。その臭いが鶏の糞の臭いにそっくりだというのだ。あはははは…。やった、やった!!
 わたしも子供の頃、まったく同じことをしていた。
 さっそく社員に告げて確かめたのだが、だれもやったことがないという。わたしと同学年、年齢が一つ下の武家屋敷に聞いても、やったことがないという。武家屋敷は女の子だからな。
 そういえば、アレは男の子同士の秘密めかした遊びではあった。それにしても、おかしい。秋田と韓国で共通しているとはどういうわけか。いやいや、秋田だけではないと思うよ。手の甲を激しくこすり合せて臭いを嗅ぐと、鶏の糞の臭いがするというのは、かなりインターナショナル遊び(?)のはずだ。それとも、仏教伝来のように、インドで起こった遊びが朝鮮半島を経て日本に伝わり、それがいくつかの地方で残っているということなのだろうか。あはははは…。んなこたねーだろう。でも、ゼロを発見したインド人が発明しそうな遊びではある。
 ところで、これを読んだ方、ぜひ試してみてください。手の甲同士を激しくこすり合せるんですよ。こすり合せたら、すぐに鼻のところに持っていって嗅いでみてください。時間を置いてはいけません。すぐにです。それから、濡れていてはダメです。本当は冬の寒いときが一番なのですが、それは、まあ、仕方ありません。なるべく手の甲を乾燥させた状態でおこなってください。(って、なんでそこまでして、鶏の糞の臭いを嗅がなければならないかという問題は残りますが…)

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