かほりのごちそう

 春特製お好み焼きの厚さかな
 散歩がたのしい季節になりました。
 歩きながら、ふと立ち止まって目を閉じると、いくつもの匂いが感じられます。馥郁たる梅の香やまだ蕾の沈丁花も空気に淡い色をつけはじめています。花々だけではありません。木も草も水も春に酔い、春を喜んでいるようです。
 池波正太郎の『鬼平犯科帳』のなかに、平蔵の手のものが夜歩いているとき、土の匂いに春を感じる場面があります。
 匂いの小説なら、パトリック・ジュースキントの『香水』。面白いですよー。映画になりましたが、そちらはまだ見ていません。
 春なればソースたっぷりお好み焼き

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読者カード

 マンションの総会部屋の隙間風
 『わしといたずらキルディーン』を読んだお母様と六歳になる娘さんから、ありがたい読者カードが届きました。ご了解を得ましたので、紹介します。
 ポプリさんにりんごをなげたときのキルディーンとわしとしゅぎょうしたキルディーンをくらべてみるとしゅぎょうしたキルディーンのほうがいいこになったとおもいます。それはきもちをしったからだとおもいます。
 次の展開が気になりながら娘と一緒にワクワクしながら読み進みました。わがままな頃のキルディーンの心境が、怒り→悲しみと克明に描写されており、興味深く読みました。忍耐の大切さも分り易く描かれていたのも良かったです。子育て中の母親にとって気付かされることの多い一冊で気に入りました。
 白々と斜めに傾ぐ月冴ゆる

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春風

 塩ラーメン三杯完食春を待つ
 トップページにご案内のとおり、昨日、新刊が同時に4冊出来てきました。
 ちゃんと出来たか、どきどきしながら手に取ります。
 本の重さや表紙カバーの感触を味わいながら、適当な箇所をひらいて、ぱらぱらめくります。この瞬間が至福のとき。ページから何かがふわ〜っと立ち上ってくる気がします。本当に立ち上っているかもしれません。
 今回は4冊とも多聞君の装丁です。
 創業以来、春風社の装丁であることを前面に押し出すのでなく、まず著者と内容を演出しようとしてきましたが、それを装丁家が巧みに表現してくれています。ページを開いた時に立ち上がってくる、目に見えない「気」のようなものが春風社らしさになっているのかなと感じました。
 著者と編集者、装丁家、写真家、イラストレーター、印刷所、製本所等々、本の製作にかかわる人の信頼関係があって初めて出来ることです。
 シナノの畑さん、お疲れ様でした。
 カルタ取る小一に負け悔しいです!

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助平であること

 実に代り鳥が木になる冬の空
 編集者はまず、人一倍寂しがり屋でなければならないというのがわたしの持論ですが、もうひとつ大事なことは、助平でなければならないということ。
 編集者寂しがり屋説は、ここの欄で以前書いたことがあるので省くとして、編集者助平説。
 その根拠は、物を書くというのは、まず第一に恥ずかしいことだと思うからです。
 学術論文など外の対象を分析し研究するものはそれほどでもないかもしれませんが、小説でもエッセイでも、自分の内面を裸にしなければなりません。読むほうも、暗黙のうちに、どこまで裸を見せてくれているかを期待します。なにも事実を書く必要はありません。事実がどうであれ、内面の真実を記述することは、恥ずかしいことだと思います。その恥ずかしい部分に触れ、撫で、もむのが編集者の仕事。
 著者と編集者の関係というのは、エッチっぽいと言われたことがありました。
 目の先の木になる鳥や寒の雨

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焼きアゴ

 沼青く鴨撃ち足跡残しけり
 長岡に出張した折、案内していただいた先生に連れられ入ったラーメンのだしに驚き、なんだろうなんだろうと思っていたら、次に案内された酒造メーカーの売店で焼きアゴを発見! ピーン! と来るものがあり、さっそく購入、家に帰ってさっそく試してみると、まさにあのラーメン店の味でした。
 だしはもちろん、だしをとった後、甘辛く煮ると最高のつまみになります。
 アゴとは、トビウオのこと。夏の季語。
 防寒帽とりて禿頭茶を喫す

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久保山のはな子 2

 三重アゴ黒豚毛布で笑ひけり
 はな子もおじさんも笑っていますねー。動物と飼育係のおじさんという風じゃありませんね。どんなことを話しているんでしょうか。
 まだお目にかかったことはありませんが、ぜひ訪ねて行ってみようと思います。 
 わたしのことばがはな子に通じるのか、まっすぐ目を見て語り掛けてみます。
 黒豚を被り作業の冬を過ぐ

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考えている?!

 車輪来て零下の線路に停まりけり
 考えているというか、思っているというか、感じているというか、認識しているというか。
 久保山のはな子にしても、今日の写真のパグにしても、絶対なんかあるでしょう。じい〜っと見入ってしまいますよ。うったえかけているような…。
 健康が宝となれり寒の明け

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