ぼくの速読術

 

・新聞社ひと少なしの爽気かな

本を速くは読めませんが、
つづけることはあまり苦でなく、
したがって、
長いものでもいつか終ります。
学習院の中条省平先生から
三浦さんはイソップみたいなひとだからなぁと、
ご指摘を受けたゆえんです。
が、
速読をしないわけでもありません。
それを「読む」行為に含めるか否かは少々問題ですが…。
まず、本を手に持ち、
上下にゆすり上げ重さを確かめる。
ジャケットのデザインを眺め、
手触りを味わいつつ
おもむろにジャケットを外し、
表紙の紙とデザインを凝視する。
ジャケットはおおむね華やか、
対して表紙は地味なものが多い。
地味な表紙の意匠に
本作りの思想が現れているとぼくは思う。
なんて。
表紙を開き、
見返しとのバランスを確かめ、
本扉、共紙の扉があれば共紙扉、目次をゆっくり読んでいく。
本文を飛ばし巻末の奥付を見る。
著者の略歴を読む。
さていよいよ本文。
最初の十ページをゆううっくり読む。
十一ページ目からはパラパラとページをめくり最終まで。
十一ページ目からのパラパラを三度繰り返す。
以上。
ぼくの速読術です。
これでなにほどのことが分かるか。
いや、
けっこう見えてくるところがありまして。
これなら
一冊一時間とかかりません。
眼球の動かし方がどうとかと
アクロバティックなことも不要。
手と指で読む。
ただしこれは、
紙の本に限ります。

・秋なれば烏の声も澄みにけり  野衾

BGM

 

・秋深し友と一献江之島亭

職場に小さなCDラジオがありまして、
小さな音で
だいたい一日中音楽が鳴っています。
演奏時間が一枚一時間ほどかかるCDでも、
一日中
ということになると、
けっこうな枚数になりますので、
それはそれで忙しく、
適当にラジオに切り替えては、
J-WAVEやNHK-FM
をかけっ放しにしておきます。
いろんなジャンルの
いろんな曲がかかりますから、
楽しくもあり。
ところが、
演歌はどうもいけません。
演歌自体は好きだし、
家ではしょっちゅう聴いているのに、
広い静かな職場に、
♪ 波の~谷間に~いのちの~花が~
というのは、
いかにも合わない気がします。
ていうか、
読んでいる原稿に集中できなくなる。
好きな歌だと余計です。
北島先生、三波先生、村田先生しかり。
TPOに応じて
ということなのでしょう。

・江ノ電を見遣り道草猫じやらし  野衾

男女混合レース

 

・秋風やゴトリ自販機釣りを取る

混浴もあるくらいですから(笑)
すべてのスポーツにおいて、
男子と女子が
いっしょにゲームを楽しむ、
ことにしたらどんなもんでしょう?
なんてことを、
ふと思いまして。
テレビに張りついて観ていた
世界陸上が終ってしまいましたが、
たとえば4×100メートルリレーで、
ジャスティン・ガトリンがアリソン・フェリックスに、
ウサイン・ボルトがシェリー=アン・フレーザー=プライスに、
それぞれバトンを渡すレースだったら、
タイムを競うだけでなく、
バトンパスにこれまでとちがったニュアンスが
ほんのり現れそうで、
観ていて
もっと楽しくなるんじゃないでしょうか。
限界に挑むのもいいけれど、
仲良く楽しくレースをし、
それを観て楽しむ
のもいいじゃないかと。
男女混合年齢別リレーとか。

・まなこ閉づ二百十日の稲穂かな  野衾

ROBERU

 

・上気せし浜辺の恋や秋の雨

一年ぐらい経つでしょうか、
本町小学校前に、
飾り付けのステキな小さなお店が出来ました。
仕事を終えての帰宅途中、
何度かふらりと入って
商品を手に取り、
眺めているうちに、
なにか自分のモノがほしくなり、
電子辞書のケースというか、
カバーを
作ってもらうことにしました。
そうです。
ここはレザーのハンドクラフトのお店。
お盆休みに入る前日、
愛用しているカシオの電子辞書を
店長さんに預け、
ふるさと秋田で数日体を休ませ、
明けて
出社した日の夕刻訪ねると、
出来ていました。
オーダーメイドの電子辞書カバー。
いつも鞄に入れて持ち歩き、
少なくとも一日一度はつかいますから、
手のひらにフィットし
肌触りのいい革の感触は、
言葉を調べることを楽しくさせてくれます。
桜木町に来られるとき、
一度訪ねてみてはいかが?
お店の名前はROBERU。
イケメン店長さんが応対してくれます。

・街も屋も白く湿らす秋の雨  野衾

逆さY女

 

・夕過ぎて窓下賑わす虫の声

駒澤大学へ行った帰り、
喫茶店で俳優の日色ともゑさんを見たことは
きのうここに書きましたが、
もうひとつ
忘れてならないことがありました。
それは、
田園都市線駒沢駅構内でのこと。
階段を下り
地下通路を歩いていると、
イシバシが、
「ほら、ほら…」と前方を注視しています。
見れば、
スーツ姿の颯爽とした女性が、
大きく脚をひらき、
そうですね、
かかととかかとの間が
少なくとも
四十センチはあったでしょう。
膝をピンと伸ばし。
あごを気持ち前に出し、
携帯電話をかけているところでした。
なぜ脚をひらく必要があるのでしょうか?
彼女の横を通り越し、
二十メートルほど進んだとき、
阿吽の呼吸でイシバシと振り向くや、
離れていますから
姿は小さくなっていましたが、
かえって形くっきりと、
彼女は「Y」の字を逆さにした姿で立っていました。
*
図書新聞に、
寅さん本の書評が掲載されました。
コチラです。

・秋なれば空深くより音来る  野衾

見てみたかった

 

・虫の声聴きて家路を通り過ぐ

駒澤大学での打ち合わせの帰り、
いっしょに行った専務イシバシが、
この近くにいいお店があると言うので、
入ってみることにしました。
大通りから少し逸れた所にある
なんということのない
小さな喫茶店でしたが、
とても落ち着きます。
カウンターとテーブル席がありますが、
五、六人入ったらいっぱいな感じ。
窓際のテーブル席で
ケーキを食べているきれいなおばさんがいました。
すぐに、
見たことがある!
と思いました。
ん?
日色ともゑさんに似ている。
似ている。
似ているゾー!
いや、
似ているのでなく、
日色ともゑさん
だな。
俳優さんだからなぁ。
齢はとってもきれいなものです。
日色さんが店を出てから、
イシバシに、
いまそこに日色ともゑさんがいたよ
と告げると、
なんで教えてくれなかったんですか…。
だって、
教えたら、
あなた絶対からだを大きく動かして
本人に気づかれるように見るでしょうよ。
見てみたかったなぁ、
と悔しそうな専務イシバシ。
レモンティーとマサラティーを運んできた店のママさんに、
「いまそこにいらした方は俳優の…」
とイシバシが
我慢ならずに尋ねると、
「はい。日色ともゑさんです。
週一回ぐらい見えられますよ」
「そうでしたか。見てみたかったなぁ」
とことん悔しそうな
専務イシバシでありました。
*
橋本照嵩『石巻かほく』紙上写真展
の二十八回目が掲載されました。
コチラです。

・宿題を終えて万端りなぴかな  野衾

PDF

 

・とりたてて言うこともなし秋の風

きのうのつづきです。
新聞紙面ではふつうに問題なく読めるのに、
また、
紙面をスキャンしPDFデータにしたものを
パソコン上で開いて読むだけなら
まったく問題ないのに、
きのうのような形でアップすると、
文字が重なって読めない箇所が生じてしまうことについて
ですが、
機械音痴のわたしでは
まったく原因が分かりません。
スミマセン。
PDFというのは、
Portable Document Format(ポータブル・ドキュメント・フォーマット)
の頭文字を取ったもの。
アドビ社が開発した文書ファイル形式で…
なんて書くと、
いっぱし業界の人みたいですが、
とりあえず業界の人ではあるのですが、
意味内容についてはまったく
ちんぷんかんぷん。
でも、
仕事上重宝していることは事実でありまして。
わたしの感覚としては、
これのおかげで、
紙を持ち運ばなくてもよくなった。
どんなソフトでこしらえたデータでも、
PDFにさえしてしまえばもう安心!
写真みたいなもので、
実物どおりを再現している、
そんなイメージ。
であったのに、
きのうここで取り上げた問題というものは、
わたし的な感覚からすれば、
カメラを向けシャッターを切ったときは笑顔
だったのに、
写真にしてみたら泣き顔
あるいは怒り顔
だった、
みたいな。
もはや想定外どころの話でない。
ああやっぱり紙はいい!

・秋風や気のみ芭蕉か良寛か  野衾