スウィートポテト

 

・山菜の土落としても落ち切らず

連休の前半、
帰省した折に友人の成美さん宅訪問。
新築成った玄関先にお嫁さんが出迎えてくれました。
天井の高い広い窓のある居間に通され、
手作りの料理に舌鼓を打ちながら
しばしの歓談。
成美さんとご長男のお嫁さんは
実に仲がよく、
台所でのふたりの会話は、
生きていたころのわたしの祖母と
若かった母の会話を髣髴とさせ、
耳元で
鈴が鳴っているようです。
たのしいときに身をまかせていると、
なにやら甘い香がしてき。
へ~。
これも手作り!
なんでもつくれるんだね。
ネットの世界はどんどん進化し、
果ても知らず。
とは言い条、
パソコンやスマホ画面から
匂いまで薫ってくることはありませんけれど、
写真が届きましたので、
匂いと味を想像してみて下さい。
美味しいですよ。

・風薫る今カーブ切る横須賀線  野衾

長かった~

 

・田仕事や父の無言に春の雨

十連休のあとの一週間、
正確には月曜から今日までの五日間ですが、
長かった~!
まあしかし、
これでやっと通常の仕事モードに復帰できました。
この季節、
光線が変化に富んでいて、
部屋に居て外の風景を眺めても、
歩きながら
木々の葉裏を輝かす風情に目をやっても、
飽きることがありません。
詩聖杜甫は、
光に対して非常に敏感だったそうですが、
杜甫なら、
この光を感じて
どんな絶句、
律詩をつくったろうか、
そんなことまで考え合わせられる
深い光線が注いでいます。

・新緑や風平らかに水縦に  野衾

奥邃先生の面影と談話及遺訓

 

・水遣りへ時代時代と言ひて父

古書で割りと安くでていたので求めました。
『奥邃先生の面影と談話及遺訓』
昭和九年、
奥邃廣録刊行会発行の本。
初めて読んだのは、
以前勤めていた会社で『奥邃廣録』の復刻版をだす際でしたから、
二十九年前ということになります。
二十九年といえば奥邃がアメリカで暮らした時間。
本書にも登場する洋画家・柳敬助のご子息
文治郎さんからお借りした本だったと記憶しています。
ちなみに記憶の「憶」の字、
吉川幸次郎によれば、
「心」がふたつ入っていることにより、
深く思うことが原義なのだとか。
深く思うから記憶されるということでしょうか。
ともかく、
ぱらぱらめくっていると、
正確にではありませんが、
そこに記されてあるエピソードを
けっこう覚えていて、
初めて読んだときの衝撃がよみがえってきます。
著者の永島忠重さんは
「はしがき」で、
次のようにいっています。
「私は未だ曾て此の人の生活の如くに充実した生活を見た事がなく、
また此の人の言葉の如くに権威ある言葉を聴いた事がない。」
奥邃のことばに初めて触れ、
すこしでも近づきたいと願った気持ちは、
今も変りなく、
これからも変らないでしょう。

・馬冷やし艸いよいよ青くなる  野衾

革の匂い

 

・田に充つる水に誘はる仕事かな

きのうは病院へ行く日。
そうだ病院へ行こう
って、
武田鉄矢が歌ってたな。
♪手遅れになるその前に~
ってか。
風邪をもらうのを避けるため、
いつも持ち歩く鞄のポケットに入れておいたマスクを取り出し
顔にかけるや、
革の匂いがふわり。
ああこの匂い。
グローブの匂いだああ!
小学生のとき、
親に初めてグローブを買ってもらったときの
わくわくどきどきした興奮がよみがえり、
どっと押し寄せ、
もはや病院どころではありません。
ま、
行きましたけど。
左投げ右打ちのわたしは、
左利き用のグローブで、
右手にグローブをはめて、
左手をグーにし
グローブのポケットをパンパン叩いた。
ああ、
あんときのあの興奮!
イチローも松井も、
子どものとききっと感じたに違いない。
いやはや。
しばらく忘れていました。
と、
さて病院のほうはといえば、
検査はとくに問題なく。
どうもどうもで。

・トゥリュリュリュリュ闇蒼く成し蟇蛙  野衾

老夫

 

・水仙の花に珈琲注ぎたし

杜甫の詩を読んでいると「老夫」ということばがでてきます。
老いたおじさん、
だれのことかと思いきや、
杜甫自身。
いくつで
自分のことを
老いたおじさん呼ばわりしているのかといえば、
ななんと四十代。
へ~!!
四十代で老夫なら
五十代は老老夫か、
六十代は老老老夫で三老夫、
なんて。
八世紀中国の時代状況もあるでしょうが、
詩のなかにその文字が出てくると、
やはり目がとまります。
ときどき見ているブログがありまして、
それを書いているのはおそらく六十代の方と思われますが、
あるとき、
「ゆえあって射精をした。かつては毎日だった」
と書かれてあり、
爆笑。
また、
杜甫の詩を読みながら、
竹内敏晴の『老いのイニシエーション』
を思い出しました。
舞踏の土方巽が57歳、
活元の野口晴哉が64歳
で亡くなったことを踏まえ、
生のエネルギーの放出が六十を境にして変ることを、
みずからの体験ともあわせ
たしか記述していたはず。
さて、
ちゃんと越えられるだろうか。
なんか心もとないなあ。
越えるための棒があるといいのですが。
って、
棒高跳び!?

・軽重を計り地球の蛙かな  野衾

連休万歳

 

・渓水や緑を割いて新たなり

世に習い十連休。
いやあ、
骨の髄まできましたね。
すっからかん!
山菜は食べただけでなく
(銀ダラの代わりのメロと煮たアイノコ堪能)
採りもし、
魚は、
川の水がまだ冷たく
釣れなかったけど、
久しぶりの寒風山へは
弟がクルマをだしてくれ、
叔父や叔母と秋田弁フル回転で
たっぷりしゃべれたし、
三か月に一回十連休だといいのになあ。
国連でそう決めてくれたら、
ならずもの国家のほかは従うだろうに、
夢の夢のまた夢か。
横浜に帰ってきたら
近くの林で鶯が、
ああ帰ってきたかと
なんともいい声を聴かせてくれ、
畏友鉄信さんの句
〈 ウグイスも練習すれば上手くなる 〉
を思い出しました。
と、
さて、
本日より営業再開。
まずは「春風新聞」春夏号が届くはず。
季節はまさに新緑。
ひかりの粒をいただきながらぼちぼちいきます。
後半もどうぞよろしく。

・新緑や霊気深深声すなり  野衾

蛾君

 

・葉桜や出勤前のひとりをり

朝、家をでてドアに鍵をかけようとしたら、
すぐ横の壁に、
茶色い蓑虫のようなる、
ゴミか
とも一瞬思いましたが、
小さな蛾が居りました。
ブチッとやるのもはばかられ、
そのうち飛んでいくだろうと思って、
触れもせず。
一日、
ああでこうで
ああでこうでああでこうでして、
夜、
八時過ぎに家に着き、
家人きょうは和コーデの日、
ドアの鍵穴に鍵を差そうとしたところ、
あら、
けさの蛾君ではありませんか。
まったく同じ場所に身じろぎもせずに。
へ~。
居たの?
あれからずっと?
なにしてた?
ちょっと感動。
で、
指でチョイ。
あ、
驚いたかっ!
勢いよく飛んで
ひとつ舞いふたつ舞いしてみっつよつ。
天井の灯りへと。
分からないけどよかった。

・葉桜やかつて暫しも立ち止まらず  野衾