親しくしている写真家・橋本照嵩(はしもと しょうこう)さんは、
俳句もたしなまれるかたですが、橋本さんの代表句といっていいものに、
「アスファルトひたすら急ぐ毛虫かな」があります。
撮影用の重い機材をかついで移動しなければならない写真家の生活がかさなり、
味わいぶかい句になっています。
田辺さんの本を読んでいたら、川柳でも、
毛虫を詠んだものがありました。
国道を無事に渡って来た毛虫 (高橋千万子)
これ、好きなんですよ、私。
毛虫も胆《きも》太き、ノンキな奴だが、それをじーっとみている作者もノンキである。
女性はユーモアのある川柳をよう作らん、という男性もあるが、
それは認識不足。いま私の見るところ、ユーモア感覚は五分五分である。
もう少し先には女性のそれが男性を凌駕《りょうが》するかもしれない。
(田辺聖子『川柳でんでん太鼓』講談社、1985年、pp.287-288)
・仰ぎ見て右見て直進蜥蜴かな 野衾

