中学生になるにあたって、自転車を買ってもらいました。
天神というところに自転車屋があって、井川東小学校に通っていた子どもたちの多くは、
だいたいそこで自転車を求めたはずです。
そのころは、
井川東小学校と井川西小学校があって、
中学には、二つの小学校から生徒たちがあつまってきました。
事前に天神の自転車屋がカタログをもって、各家を訪問していました。
それまでは、
ベージュのフレームの子ども用自転車でしたから、
自転車屋のおじさんが示したカタログをひらくと、どの自転車をみても、
文字どおりキラキラかがやいて見えたものです。
フレームの色は青系と赤系が多かったかな。
青系が男子向け、赤系が女子向けということだったのかもしれません。
そのなかに、黒いフレームで、
しかもピカピカしていない、
写真で見ても、特殊なつや消しがほどこされているようであり、
少年のわたしにシブイ!と感じさせるにじゅうぶん。
さっそくそれを注文。
実物がとどくまでの時間のなんとながかったことか。
ついにあの自転車がじぶんのものに。
五段切り替えの変速ギア。
じぶんのものなのに、じぶんのものでないみたい。
メルセデスベンツよりもポルシェよりもランボルギーニよりもかっこよかったさ。
はじめて乗ったとき、
だれかに見られるのではないかと気になった。
なんだか恥ずかしいような。
顔が赤くなっていたかもしれません。
・稜線を宙になぞるや夏の山 野衾

