信仰の根本、知恵の知恵

 

口にする、しないはともかく、人間における思想の根幹、アキレス腱は、
死後、じぶんのいのち、魂がどうなるか、
に関わっていると考えます。
イブン=ハルドゥーンの『歴史序説』に、
こんな詩が紹介されていました。

 

人の頭が灰色になって
床屋が染毛をすすめると
その人の笑顔は消え
もはや喜びは見られなくなった
立てよ仲間よ 失われた青春を嘆こう
過ぎ去ったものは 復活の日まで
誰にも戻って来ないものだ
その日は最後の審判をまえにして
人々がこの世に生き返るであろう日
私はこれが真の信仰だと信ずる
私は復活を疑わない 事実
神はくずれてちりとなったあとで
ふたたび生き返った人々について語り給うた
(イブン=ハルドゥーン[著]森本公誠[訳]『歴史序説(二)』岩波文庫、2001年、p.24)

 

これは、
西暦795年に没したシーア派の詩人、サイイド=アルヒムヤリーがつくった詩。
こういうところにも、
『聖書』との親近性が感じられます。
ここに知恵があると思います。

 

・夕立や保土ヶ谷宿に下駄の音  野衾