ワクワク感

 

・寒き日や小さき楽しみみて進む

休日出勤した帰り、
Gravityを観に横浜ブルク13へ。
こういうワクワク感があると、
一日の暮らしが楽しくなります。
宇宙飛行士の話。
始まる十分前、
受付開始の館内放送があり、
チケットを渡して半券をもらいポケットへ、
指定された館の入口で
3Dメガネをひとつ借り受けます。
ワクワク感はさらに増し。
封切前の映画予告があり、
上映中のマナーにつき
いつもの注意動画があって
いよいよ本編開始、
に先立ち
3Dメガネを装着するようにとのメッセージ。
はい。
ちゃんと持っています。
ぬうと中年の男
が現れスクリーンを遮蔽、
ナンダコノヤロ、
身を細めようともせず、
腰をかがめようともしないで
前をガサガサと通り
わたしのすぐ右横に座りました。
ちょっと気になり、
それがだんだん度を増し、
このひと、
もしかしたら、
ピストルなんか持っていて、
映画館ジャックを企んでいるとか、
なんてことを。

思う間もなく映画が開始。
小さく小さく
耳鳴りのように聴こえる音と
闇に浮かぶ宇宙船と地球を見た瞬間、
からだごと宇宙に投げ出されていました。
3D。
ワクワクはドキドキに変り、
宇宙服のなかの酸素が
少なくなっていくにつれ、
こちらの息まで
ハッ、ハッ、ハッ、……
すごいスピードで飛んでくる破片を避けるため
スッ、スッと
からだを右へ、左へ。
もう目が離せません。
字幕を追いながら、
いろんなことが頭を経めぐります。
ワクワクドキドキは亢進し、
外も中も見ています。
映画が終ります。
終ったの?
呆となりながらエンドロールを見、
目を上げたら星が見えます。
左手は北斗七星、
かな。
映画館ジャックだったかもしれない男は
いつの間にか
ふつうのオーラに着替え、
そそくさと退場していきました。
ゆっくり、
からだが発酵し
言葉が浮上してくるまで待つことに。
辞書を引くと、
gravityにはいろいろな意味がありました。
映画を観ながらふっふっ
と浮かんだイメージに照らし、
かさね。
トマス・ピンチョン『重力の虹』の新訳もそろそろ。
Gravity’s Rainbow

・雪だるま笑ひも融けて透けにけり  野衾