こころ

 

・蕭々の小雨煙るや梅祭り

年を重ねていいのは、
ものぐるしさは相変わらずでも、
それをただ呆とながめ、
時をやり過ごすことが
少しはできるようになったこと。
取るに足らない
まったく
人に告ぐべきことならずで、
自慢にはとても及びませんけれど。
病気のおかげでもあり、
ちょびちょび飲む
お酒のおかげもあるかと思います。
おかげおかげで、
若いころのような
ものぐるしさに耐え切れず
転がるようにして外に飛び出すことは
なくなりました。
そのこころは
無くなっていなくても、
そうしないこころを
覚えたのか、
力が失せただけのか、
ともかく、
ぢっと自閉している。
切実の笑いを求め、
にごりを蕩かす涙を求め、
こころふるえる対話があればと、
あわてずに、
ゆっくりゆっくり
歩くだけです。

・天の虎に耳齧られる寒さかな  野衾