Archives : 1月, 2014

水温む

 

・校正を遂げて振り向く暮早し

水温む、
と書いて、みずぬるむ。
今日は一月の終りで、
水温むには
少し早いのですが、
昨日今日のぼやぼやした陽気は、
水温む感じがいたします。
ちゃ~ ちゃららららら~
わたくし生まれも育ちも葛飾柴又帝釈天で…
なんて。
こうなると、
梅や桃の花が
咲くときを得
人知れず
疼きはじめているような。
この時期、
天然のもろもろが
連関し連携し、
耳で聴こえぬ
(しばしば聴こえる)
音を発しているようでもあります。
そのなかにわたくしもいる
と感じると
うれしさがこみ上げてき、
うれしさのなかで、
息をします。
春が近いと感じるのでございます。

写真は、まるちゃん提供。

・短日のベランダの空仰ぎ見つ  野衾

親和力

 

・垣根越しあれは梅かと一人ごつ

夜中 眼が覚め
横になって 力を抜いているのに
眠られない
ことがあります
パカリ
パカリ

瞬きの音さえ
聴こえて きそうなのだ

ふ~
ダメだなあ
トイレに 立ってみても
亀布団を かぶってみても
きのうのことが
思い出され
グルグルグル グル
また
グルグルグル グル

いっそ思い出すことに 馴染んでみては
なんてことないさ

考えてみては

努力は 水泡に帰し
やぶれかぶれの
伊勢エビ
似非エビ
砦はすでに 穴だらけ
少しは眠っただろうか

・自らを叱つて臥せる冬日かな  野衾

男はつらいよ

 

・七時半行つてきますの朝の声

女もつらいとは思いますが。
それは措いといて。
『男はつらいよ』。
つい先日、
大学時代からの友人と飲む機会がありました。
友人、
『男はつらいよ』が
最初は嫌いだったのに、
歳を重ねるにつれ好きになり、
ついに全作品の
ビデオだかDVDの入ったトランク
(そういう商品が売り出されていました。
今もあるかもしれません)
を買おうかどうしようか迷い、
結局、
奥さんの顔を思い浮かべて
踏みとどまったのだとか。
それほどゾッコン、
『男はつらいよ』に
また寅さんに惚れてしまったそうです。
友人は銀行マンで、
外国暮らしも長かったため、
よけいに思い入れが強くなったのかもしれません。
わたしも、
自分の愚かさ馬鹿さ加減、
くだらなさを
自ら認知し落ち込むようなとき、
『男はつらいよ』の
寅さんのことばが思い出され、
泣きたくなるときがあります。
そのものズバリ!
『寅さんのことば』
という本が今月出ました。
中日新聞社刊。
たとえば、
「俺には、むずかしいことはよく分からねえけどね、
あんたが幸せになってくれりゃいいと思ってるよ。」
く~、
泣かせるねえ。

・寅さんのことばに和む冬日かな  野衾

トークイベント

 

・ラーメンの湯気の粒粒見てゐたり

三月ですから
少々先のことになりますが、
トークイベントに呼ばれました。
横浜市中区若葉町にある映画館ジャック&ベティでは、
三月一日より二週間の予定で
「世界一美しい本を作る男 シュタイデルとの旅」
が上映されますが、
公開記念として、
公開初日に引きつづき行われるイベント。
題して、
「横浜で本を作る男の本作りの現場」
現場、
というのがなかなか。
聞き役は「たけうま書房」店主の稲垣篤哉さん。
訊かれるまま
なるべく正直に、
ときどきはウソも交えしゃべろうと思います。
ご興味のある方はどうぞ。
詳しくはこちらをご覧ください。

・冬の朝ことばなき世を夢見たり  野衾

 

・ストーブにスルメ炙られ反り返り

子どものころ、
秋田の実家ではよく猫を飼っていました。
代々色の黒い
尻尾の丸い猫と決まっていた。
祖父の嗜好によるものだったでしょう。
代替わりのとき、
尻尾が丸く黒い猫ならもらってきた。
なので、
猫イコール、
黒くて尻尾が丸い。
ほかで尻尾の長い三毛猫や、
一色でも黒以外の、
例えば、
寺の廊下を歩く
白く尻尾の長い猫などを見ると、
ちょっと怖かった。
わたしが住んでいる家は
山の上にありますが、
付近に猫がけっこう多くいて、
仕事の往き帰り、
いずれか二三匹に
出くわさない日はありません。
立ち止まり、
おう、
と声をかけると、
キッと戦闘態勢に入る猫あり、
また、
よう人間元気かい、
みたいな表情をする猫もいる。
まあそんな感じ。
このごろ
猫の置物が少しずつ増えてきました。

・ストーブを抱えて居たき朝もあり  野衾

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。