暮らしの音

 

・熱風を吐きてゴジラになりにけり

詩人の長田弘さんとのトークイベントが終りました。
長田さんの、
『ねこに未来はない』
『記憶のつくり方』
『私の二十世紀書店』
を取り上げ、
いろいろ楽しいお話をうかがいました。
いまも、
何代目かになる猫を飼っておられるそうです。
わたしは、
学生のときから
長田さんの本が好きで、
暮らしの教科書として、
また、
同時代を見、
知るための教科書として、
折にふれ長田さんの本を読んできました。
そのことをとおして、
本の読み方を教わった気がします。
本を読むことは
けして消極的でなく、
むしろ意志的で、
積極的な行為であるということを。
敬愛する長田さんと
直に話ができるというのも、
出版社勤めをしていればこそ。
ありがたいことだと
あらためて感じました。
少し早めに来社された長田さんに、
コーヒーとラスクをお出ししたところ、
まずコーヒーを一口、
それからラスクが入った袋を手にとり、
ためつすがめつ。
袋を破り一枚目のラスクを口中へ。
バリ、バリリ。
おいしそうにめしあがります。
またコーヒーを。
それから二枚目のラスク。
習慣がパトリアという長田さんの
暮らしの音をきいた気がしました。

写真は、ひかりちゃん提供。

・哀れ蚊に哀れ血をやる女性(にょしょう)かな  野衾