パソコンと読書

 

・爽やかを腹いっぱいに吸ひにけり

この日記もそうですが、
パソコンのキーボードで文字を入力するとき、
わたしは右手の中指と人差し指しか使いません。
ローマ字入力で行っているのですが、
いま改めてキーボードを眺めると、
一番左上に
なんだかわからないESCと書かれたボタンがあり、
そこから右へF1、F2、F3…
ESCのボタンの下には
半角/全角―漢字と書かれたボタンがあり、
そこから右へ1,2,3…
その一段下の横列は左にTab|← →|とあり、
右隣りからQ、W、E、R、T、Y…
こうやって文字で説明すると、
ほんとうにややっこしい。
それで、
わたしはこのボタンの並び方を
まったく覚えていません。
謙遜でなくまったく。
なのに、
右手の中指と人差し指だけで、
キーボードをときどき眺めやりながら
そんなに苦労せずに
いつの間にか打ち込めるようになりました。
頭で覚えているのでなく、体が、
というよりも
右手の中指と人差し指が覚えているとしか思えません。
左手は、入力作業中、
ただ椅子の肘掛で休んでいるだけですから、
右手の中指と人差し指だけが覚えている
と言ったほうが正確です。
ちょっと話が飛びますが、
文章を読むということに関して
このごろ同じようなことを考えます。
本を開いて黙読していても、
頭のなかでは声が出ています。
文字を声でなぞりながら読んでいくと、
一冊の本を要約して答案に書くことはできなくても、
けっこう愉しく、
発見と悦びに満ちた読書となります。
パソコンの入力と読書百遍の言い伝えから、
体の不思議に思い至ります。

写真は、ひかりちゃん提供。

・コスモスを画像検索句作せり  野衾