日々の道

 

 手袋や完全防備の五十代

正月、秋田に帰省した折、
父から斎藤肇氏の詩集『日々の道』(書肆えん)を示された。
斎藤氏は一九三三年(昭和八)、秋田県井川町生まれ。
高校卒業後、地方公務に携わるかたわら、詩作を行ってきた。
日々の道は、そうしたなかで紡がれた氏の珠玉の第二詩集である。
詩は「物や経済などのくらしの表と、表裏一体である内なる“芯”は、
つまりくらしの命脈と言っていいのではないか」
と「あとがき」に記している。
詩集を一気に読むことなど稀であるが、
『日々の道』の一つ一つの言葉が身に沁みて、
巻を閉じたとき、ホーと溜め息がでた。
ふるさとにくらし、ふるさとの恩恵をまるで雫のように、
ありがたくていねいに受け留めている言葉、詩である。
感想を手紙に書いて送ったところ、
斎藤氏からありがたい手紙とともに、詩集を恵贈された。
これからも折にふれ巻をひらき、
そのたびに瑞々しいふるさとの息吹に触れることになるだろう。
ありがとうございました。

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