Archives : 8月, 2009

スズメとハマグリ

 し残した仕事ばかりが秋の宵

坪内稔典さんの『季語集』を読んでいたら、
面白い季語について書いてありました。
「雀(すずめ)海に入りて蛤(はまぐり)となる」
十六字もあります。
俳句は五・七・五で十七字ですから
残り一字しかありません。無理!
なので、ふつうは、「雀蛤になる」と縮めて用いるのだとか。
言われてみれば、スズメとハマグリって色や形がなんとなく
似ている気がします。
子どもの頃、一番下の叔父さんが空気銃で撃ち落した雀を
祖父のトモジイが焼き鳥にしてよく食べさせてくれました。
こんな美味しいもの世の中にあるかと、ばくばく食べたものです。
数年前、叔母さんから聞いたのですが、トモジイは、
美味しい胸肉の辺りは孫の私や弟にくれ、
頭とか足なんかのどうでもいいような部位を
自分の子にあげたというのです。
孫にはかなわないと、叔母さん、ちょっぴり哀しかったそうです。
村上鬼城の句に「蛤に雀の斑(ふ)あり哀れかな」があります。
あんな美味しい雀は食えなくなったけど、
その代わりといってはなんですが、わたしは、
焼き蛤も大好きです。炭火で炙った蛤がパカッと開いたら、
醤油をちょっと垂らします。
えもいわれぬいい香りが立ちのぼってきます。
わたしの場合、風流よりも食い気です。
焼き蛤(はま)に雀の味を思い出し、てか。

 野分の日口をへの字の候補人

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陽水さん

 新涼やけふのちからをあたへてよ

「LIFE 井上陽水 40年を語る」
NHK教育テレビで四夜連続で放送されました。
惜しくも一回目を見逃しましたが、あとは見ました。
陽水さんがジョン・レノンやボブ・ディランについて語る
語りが面白かったです。
とくにジョン・レノンについての語りが印象に残りました。
正確には覚えていませんが、
彼の声というのは独特で、
一人では生きられない子どもが、
大人たちにこっちを向かせるような、
深読みかもしれないけど、そんな声に聞こえた…。
陽水さんは三十代のころ、
作家の色川武大/阿佐田哲也のところに
入り浸っていたそうですが、
昨日の番組の最後のほうの陽水さんは、
なんだかとっても阿佐田哲也に似ていました。
顔が似てくるほど影響を受けたということでしょうか。
それとも、もともと似ているものがあったから、
響きあったのでしょうか。

 新涼や又三郎の空を見る

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バランスチェア

 火点しごろ這ひ上りくる残暑かな

仕事をするときの姿勢はとても大事です。
とくに背骨のゆがみは集中を生みません。
クリエイティビティにも深く関わっています。
税理士の先生から、少し経費を使ってもいいよと
お許しが出ましたので、さっそく、
「21世紀の椅子」の誉れ高いノルウェー製の
バランスチェアを見に、大手家具屋さんに行ってきました。
実際に座ってみると、
腰への負担がまったくありません。
膝で体重を支え、少し体が前傾します。
なので、自然と背筋が伸びてきます。
ちょうど、座禅をするとき、
お尻の下に座布を当てたような具合です。
座禅の形を椅子で行うわけですから、
これは集中できそうです。
家具屋さんの話では、腰の痛い方、
子どもの勉強のためにと求める方もいるそうです。
実はこれ、20年ほど前、
当時ノルウェー大使館に勤めていた友人宅で
似たものを見たことがありました。
変な形の椅子だと思いましたが、
そのときは、そう思っただけで、
以後すっかり意識から遠のいていました。
このごろ気功をやっているせいか、背骨が気になり、
良い椅子がほしいと思っていた矢先、
先の税理士先生のありがたい言葉がありました。
社員人数分のバランスチェアを買おうと思います。

 新涼やつい口走る気持ちいい

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新涼

 箸二膳はふはふほうと蟹チャーハン

帰宅してまず一番にすることは、
汗でガムテープのように貼り付いた衣類を剥ぎ取り、
ぬるめの風呂にザンブと入ることです。
朝沸かしておいたのが冷め、
ちょうどいい湯加減になっています。
さっぱりしてバスタオルで体を拭き、
ようやくやれやれとなります。
ところが、昨日は、
猫たちが我が物顔に闊歩する自宅近くのあの
きつい階段をふうふう言いながら上ったにもかかわらず、
ほとんど汗を掻きませんでした。
今朝起きて温度計を見たら27度。
昨日の朝より一度低くなっています。
昼は残暑が厳しくても、朝夕はめっきり涼しくなりました。
わたしは帰りませんが、来月はもう稲刈りです。

 秋の宵ネタを探して一時間

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漢字vs.平仮名

 烏賊を下げ踏切に立つ残暑かな

本作りで悩むことの一つに漢字を使うか
平仮名を使うかの問題があります。
問題というほど大げさなものではありませんが、
たとえば、「わかる」「しれない」「あらわれる」。
本によってこの三つを選択する場合もあります。
でも、必ずそうするかというと、そういう訳でもありません。
「わかる」でなく「分る」や「分かる」で行く場合もありますし、
「しれない」でなく「知れない」、
「あらわれる」でなく「現れる」や「現われる」で統一したり。
著者の好みもあり、なかなか微妙です。
「わかる」で統一していても、
ある場面では「分かる」「分る」を意図的に使う場合もあります。
「わかる」よりも「分かる」「分る」のほうが、
ハッキリさが出ているような気がするからです。
いずれにしても、悩ましい。
編集長ナイ2が詩人の飯島耕一さんの本を編集していて、
字句の統一について質問したところ、統一する必要はない、
そのままでやってくださいとのことだったとか。
ナイ2、どうしてですかと尋ねたら、
気分で書いてますからというのが飯島さんの答えでした。
言うに言えない気分というのも大事な要素なので、
そうなると、ますます微妙になります。

 秋立つとゐへど寝てゐる空を見る

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。