高調子は損

 青山を仰ぎ波打つ青田かな

弊社の男性社員は、わたしを除き総じて滑舌が悪い!
「え?」「なに?」「なんて言った?」と、
訊き返すことしばしばだ。
編集長ナイ2は哲学、オカピーは言語学、テラチーは心理学を
それぞれ専攻した優秀な学徒であり、
低い声で滑舌悪く話されると、相当深い話をしているかと思って、
こちらとしては訊き返すことがはばかられる。
場面と文脈から、空気の震え、唇の震えを読むようにし
聞き取ろうとする。それでも聞き取れず、
訊き返すことがなんとなくしづらい時は、あいまいに受け答え、
犬のように笑うしかない。
よほど深い話だったのではと気になり、仕事が手につかず、
勇気を出して訊き返してみたところが、
「最近のポテトチップスで美味しいもの、なんかありますか?」
みたいなことが間々ある。
教訓。滑舌の悪い低い声の話には気をつけるべし!
高調子は損をする。
ジャパネットたかたの高田明社長のあの声、
どうしたって哲学や言語学や心理学には似合わない。
「さあみなさん、ハイデガーの存在と時間、買いましたかー?
まだ買っていない人のために、今回は特別、
いま流行りのマルクスの資本論をつけて、なんと5000円!
手数料なしの10回分割払いのお得なコースもあります。
どうですみなさん。ハイデガーとマルクスが
ひと月たった500円で自分のものになるんです。
オンナの子にもモテモテ!
金利はジャパネットたかたが負担します」
ぼくは高田社長が好きなので、すぐ買っちゃいそうだけど、
ウチの滑舌の悪い三人は絶対乗らないだろうなあ。

 山背来て銀色しずくの稲穂かな

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