漢字vs.平仮名

 烏賊を下げ踏切に立つ残暑かな

本作りで悩むことの一つに漢字を使うか
平仮名を使うかの問題があります。
問題というほど大げさなものではありませんが、
たとえば、「わかる」「しれない」「あらわれる」。
本によってこの三つを選択する場合もあります。
でも、必ずそうするかというと、そういう訳でもありません。
「わかる」でなく「分る」や「分かる」で行く場合もありますし、
「しれない」でなく「知れない」、
「あらわれる」でなく「現れる」や「現われる」で統一したり。
著者の好みもあり、なかなか微妙です。
「わかる」で統一していても、
ある場面では「分かる」「分る」を意図的に使う場合もあります。
「わかる」よりも「分かる」「分る」のほうが、
ハッキリさが出ているような気がするからです。
いずれにしても、悩ましい。
編集長ナイ2が詩人の飯島耕一さんの本を編集していて、
字句の統一について質問したところ、統一する必要はない、
そのままでやってくださいとのことだったとか。
ナイ2、どうしてですかと尋ねたら、
気分で書いてますからというのが飯島さんの答えでした。
言うに言えない気分というのも大事な要素なので、
そうなると、ますます微妙になります。

 秋立つとゐへど寝てゐる空を見る

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