端居

 祖父のもと足投げ出して端居かな

家の端近くに出て座っていること。はしい。
特に夏、涼をとるため縁先などに出ること。夏の季語。
『大辞林』の説明に、そうあります。
この言葉を最近、坪内稔典『季語集』(岩波書店)で知りました。
すぐに思い出したのが、祖父の姿です。
秋田の実家は風通しがよく、夏になると
祖父は決まって洋間のソファーに寝転がり、
片手を額にかざすような恰好で昼寝をしていました。
口が少し開いています。
祖父の場合、座らないで寝転んでいましたから、
端居ではなく端寝、ですかね。
ともかく、その姿を見ているだけで安心したものです。
祖父が居なくなって、その安心が
どこかへ飛んでいってしまいました。

 からからと蝉八匹転がれり

090814_1628~0001