二度手間

 ある手続き上の書類が送られてきて、必要なものを揃え指示通りに送ったのに、書類不備で突き返された。だったらなんで最初から言わねんだ。ったくよー。よっぽど担当のものに文句を言ってやろうかと思ったけれど、文句を言ったところで埒があかない。仕方がない。というわけで、今日は朝一番で法務局に出向くことになった。
 法務局といえば、会社をつくるために初めて訪れたときのことが忘れられない。「あのー、会社つくりたいんスけど」。受付にいたそのフロアの業務をすべて熟知しているという風情の男性が怪訝そうな目でわたしを見、「有限ですか。株式ですか」。「どう違うんですか?」とわたし。「知らないんですか?」「いえ。あの、知っています。有限です」「有限ね。伊勢佐木町の有隣堂の裏手に文房具店がありますから、そこで『有限会社の作り方』というのを買って、それに記入して提出してください」。あのとき言われたことばは正確に憶えているのに顔を思い出せない。ミスター法務局。

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