初めて子供を
草原で地の上に下ろして立たした時
子供は下ばかり向いて、
立つたり、しやがんだりして
一歩も動かず
笑つて笑つて笑ひぬいた、
恐さうに立つては嬉しくなり、そうつとしやがんで笑ひ
そのをかしかつた事
自分と子供は顔を見合はしては笑つた。
をかしな奴と自分はあたりを見廻して笑ふと
子供はそつとしやがんで笑ひ
いつまでもいつまでも一つ所で
悠々と立つたりしやがんだり
小さな身をふるはして
喜んでゐた。
千家元麿さんの「初めて子供を」という詩。わたしは千家元麿さんの詩を読んだことがないから、こういう素敵な詩があることも知らなかった。谷川俊太郎さんの『「ん」まであるく』のなかの「理由なき喜び」というエッセイのなかで紹介されていた。千家さんの詩を紹介しながらの谷川さんのエッセイがまた素晴らしい。