森進一かよ

 

 春を告ぐ古き街灯点滅せり

「これからの出版マーケティングの進め方」という
セミナーに参加してきました。
途中休憩十分をはさみ、
二時間半の長丁場。
いま出版業界がどうなっているのか、
上手に整理され、
まとめられており、
新しいことはなかったものの、
ふだん考えていることが
全体のなかでどう位置づけられるのか、
客観的に知ることができ、
いいセミナーだったと思います。
ただ、
講師の声が森進一的、
かつ滑舌が悪く、
マイク近づけ過ぎのため、
非っ常に聞きづらく、
あれで参加費一万円は高かった。
三千円ぐらいにして欲しかった春の夜。
*
写真は、まるちゃん提供。

 姉を連れ中央快速受験生

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そういうこと

 

 三月と聞いて心の華やげり

「年が明けたと思ったら、もう○月ですよ。
早いですねー」という言葉を、
このごろ何人もから聞きます。
わたしも、
あいさつ代わりというか、
少し親しい知人に向かって言うことがあります。
実際にそう感じてもいますから。
考えてみれば、
そういうことを言い合う歳になったということでしょう。
若いときはそんな風に感じなかったから、
口にすることもなく、
今の自分と同じ年頃の人と話しても、
彼彼女からその言葉を聞きませんでした。
共感を得られぬことを言っても仕方ありません。
なので、
親しくても、
若い人に向かっては言わないようにしています。

 三月の雨にあけぼの近くなり

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春バージョン

 

 置物と思へば瞬き亀の鳴く

いよいよ三月、
春はあけぼのとは言い条寒いですが、
当ホームページのヘッダー
“shumpu photo story by 橋本照嵩”が
今日から春バージョンに変ります。
どういうときに季節を感じるかは、
人それぞれだと思いますが、
今回の写真の場合、
雪が解けた後の道端で遊ぶ子らの姿に、
わたしは一番春を感じます。
クリックする度に写真が変りますから、
どうぞ試してみてください。

 三寒に砕け散ったる四温かな

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ラッキー!

 

 ふたたびの運慶仏や亀の鳴く

金沢文庫の運慶展を
もう一度見たいと思っていたところ、
ひかりちゃんりなちゃんのご家族が行くというので、
車に同乗させてもらい、
ふたたび行ってまいりました。
受付で「こちらにお並びください」と教えられ、
教えられたとおりに並ぶや、
すかさず、
「入館五万人目です。おめでとうございます」
文庫長さんから記念品を頂戴しました。
今回の運慶展は読売新聞社との共催らしく、
紙面に写真が掲載されるかもしれないとのこと。
いずれにしても、ラッキーでした。
文庫には金沢北条氏の菩提寺である称名寺が隣接しており、
運慶仏観覧のあと、のんびり散策。
亀と鯉がうじゃうじゃとたむろしているのもまた一興。
池にかかる木橋を渡る風は春を告げています。
帰りは十年ぶりになる「島鮨」さんへ。
美味しくいただきました。
*
写真は、まるちゃん提供。

 友の眼の赤く兆して花粉かな

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良寛さんは大変

 

 灯り点け窓の曇りし四温かな

現在、金沢大学留学生センターの准教授をしておられる
松田真希子さんに案内していただき、
出雲崎の良寛記念館に行ったことがあります。
芭蕉も出雲崎を訪れたそうです。

荒海や佐渡によこたふ天河(芭蕉)

いいところでした。
このごろ懐かしく思い出します。
吉野秀雄の『良寛』はいい本です。
良寛さんについてのわたしの体験はそれぐらいで、
多くは知りません。
でも、良寛さんを思う気持ちは、
自分のなかに大事にとってあるような気がします。
良寛さんには嫌いなものがあったそうで、
書家の書、詩人の詩、料理家の料理というのですが、
書は下手、詩は書かず、料理もさほど、
の人は少なくないでしょうから、
こんなところにも
良寛さんの人気の秘密があるのでしょう。
東京創元社から昭和三十四年に出版された
『良寛全集』上下二巻が三八〇〇円で出ていましたので、
さっそく購入しました。
人間関係に疲れたときなど、
こころはどうも良寛さんに向かいますから、
あこがれのオーラをまとわされ、
良寛さんはなかなか大変、休む間もありません。

 交差点歩幅十ミリ四温かな

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朝はだんだん

 

 ながむればつと沈丁花待つ気分

六時起床というのが長かったのですが、
しばらく前から五時になり、
このごろは四時、
ふと目覚めたら三時半のときもあり、
そんな折は、
えい面倒だ起きちまえ、なんてことも。
中学高校と、
もともと朝型だったのが、
齢五十を過ぎた頃から自然の成り行きで、
かつ勢いを増したのか、
朝がだんだん早くなっていくようです。
予算消化ということもあるのか、
二月は道路の修復工事が多く、
今も工事の音が聞こえています。
*
写真は、まるちゃん提供「ブレーメンの音楽隊」

 マフラーを巻いて手にする馬琴かな

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夢に中野好夫

 

 春風や車中のどかに文庫本

わたしはなぜだか、
もと居た学校に再就職することになり、
今日から授業が始まるという日、
ホームルームで
その日の予定をクラスの生徒たちに告げていたら、
同僚のK先生が教室に飛び込んで来、
「中野さんが職員室にいらっしゃっています」
「中野さんて?」
「中野好夫さん」
わたしはあわてて職員室に戻ります。
顔を上げたその人は、
写真で見た事のあるたしかにそれは、
中野好夫さんです。
わたしは、
出版社勤務中に中野さんに手紙を出しており、
それで中野さんは、
学校までわざわざ訪ねてきてくれたのでした。
中野さんは、
わたしが送った手紙の中の「ググッと」
という形容句が気に入ったらしく、
そのことをとても褒めてくださいました。
中野さんの本の感想のなかで使った言葉です。
わたしは興奮し、
なぜ「ググッと」だったのかを説明しています。
何人かの先生がくすくす笑う声が聞こえます。
そんなの関係ありません。
ふと、壁にかかった円い時計に眼をやれば、
一時限目の授業の終了まであと五分。
わたしは中野さんに、
ちょっと待っていてくださるようにお願いし、
職員室を飛び出したのですが、
何階のどこの教室なのか確認し忘れていました。
授業が終って廊下に飛び出した生徒をつかまえ、
目的の教室の場所を尋ねます。
それから廊下を走り、
息せき切って階段を上って教室にたどり着くや、
生徒はもう散り散りばらばら、
担任のK先生が「いいから、いいから」と
手で合図を送ってくれます。
そうか。一時限目はK先生のクラスだったのか。
K先生に何度も頭を下げ、
それから回れ右をし、
階段を二つ飛ばしで駆け下り、
廊下を走って職員室に戻ります。
「中野さんは?」
「たった今これを残して帰られました」
受け取ったメモに鉛筆で何か書かれているのですが、
独特の文字は震えているようで、
わたしには読むことができません。
悔やんでも悔やみきれない気持ちがもたげてきて、
ただ、わんわん泣きたくなりました。
*
写真は、カワチュウくん提供。

 早春の夜を朝までダダダダダ

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