そっくり

 

・黙々と御飯がすすむ泥鰌鍋

 

ひとりとことこ野毛坂を下り、
福屋さんに向かいました。
いつも開いた泥鰌を鍋で煮る「さき」を頼むのですが、
先日「まる」を食したら、
泥鰌本来の味がしあまりに懐かしく、
また引き寄せられるようにして
「まる」を所望。
と、
ひとり女性が入ってき、
カウンターの端に座りました。
そのたたずまい、所作、声のトーンが
なんとも義母に似ています。
スッと姿勢をよくし、
静かに座っているだけなのですが、
独特のオーラがあり、
泥鰌を食べながら
つい見てしまいます。
世の中には
似ている人がいるものですが、
「義母に似ているひとベストテン」
をやったら、
まず間違いなく一等でしょう。
いやぁ、
そっくりでびっくり!

 

・汁ぢふぢふ溢れてゐるよ泥鰌鍋  野衾

 

夏風邪 3

 

・新涼を息ととのへて吸ひにけり

 

きのうは整体の日。
鵠沼海岸まで電車を乗り継ぎえっちらおっちら。
駅から目的の家まで徒歩十五分のところ、
からだが重く、
途中、
「どなたでもご自由にお休みください」
と記されたベンチがあったので、
どっこいしょ。
十分ほど休憩してからベンチを離れ、
またとぼとぼ歩いて、
ようやく到着。
ネルとジャスがお出迎え。
下だけ着替えてすぐに施術。
気持ちよくなり、
自分のいびきで目を覚ますこと二回。
どうもどうも。
「それではうつ伏せになってください」
「はい」
ベッドの顔の当たる部分に
穴が開いており。
マッサージしてもらっているうちに、
「あのあの、は、は、鼻汁が…」
「はいどうぞ!」
「どうもどうも」
ティッシュで思いっ切り洟をかみ。
いや、あぶなく鼻汁を床に垂らすところでした。
夏風邪はまだ完治していないようです。

 

・光来て音に耳行く秋の海  野衾

 

夏風邪 2

 

・鬼灯や寂しき母の得意技

 

治ってきたので言えることですが
風邪が癒えはじめての朝は
気持ちがいい
体温計のアラーム音かと思えば
そうでなく
小鳥がさえずる声だったり
雨を踏む自動車の音だったり
遠くの時計の音だったり
外の音だけではありません
心臓の音、呼吸音、思考している脳の音…
生きている
厳粛な気持ちになって深呼吸
風邪は
深呼吸の必要を
思い出させてくれる

 

・鬼灯をビューと鳴らして母帰る  野衾

 

夏風邪

 

・夏風邪やテレビも本も楽しめず

 

きょうで八月も終り
ですが、
空が狂ってしまったふうで、
連日暑い日がつづいています。
夏風邪をひいてしまいました。
そんなにひどいことにはならないだろう
と高をくくっていたところ、
けっこう熱が出
ふらふらっとなり、
きのうは欠勤。
よもやまは休みました。
いやはや。
汗をそうとう掻きまして、
熱が下がりました。
インフルでなくてよかった。

 

・夏風邪や缶詰並べ下着替ふ  野衾

 

残暑

 

・突如来て行く手定める鬼やんま

 

八月も最終週になったというのに、
ゆうべは熱帯夜、
きょうも暑くなりそうです。
歳時記で残暑をひくと、
表題のほかに
傍題として「残る暑さ」「秋暑し」「秋の暑さ」「秋暑」
があげられています。
例句は、
文字数もさることながら、
単なる言い換えというより、
ニュアンスが
それぞれ少しずつちがっていて、
その微妙なちがいが面白く。
「歳時記は日本人の感覚のインデックス(索引)である」
は、
詩人寺田寅彦の名言。

 

・鬼やんま行く手定めて去りにけり  野衾

 

天地始粛

 

・風を刈る鎌のやうなる猫じやらし

 

七十二候のうち今週は四十一候。
てん ち はじめて さむし
八月も最終週、
暦どおり、
ゆうべは風が何とも気持ちよく、
虫たちの声が
さらに涼しさを増してくれるようでした。
稲刈りのシーズンが近づいてきました。

 

・首振りの我に少なし扇風機  野衾

 

今度は梨

 

・業終えて暑さ残れど夜青し

 

どうしても食べたかった祝(いわい)りんごは
秋田で連日食し、
なつかしさも味も堪能したので、
もういいかと。
西瓜も桃も今年はよく食べました。
ときどきりんご。
これからは梨。
先日、
関東学院での打ち合わせの後、
日ノ出町のスーパーマッケットの入口に
幸水が並べられていました。
黄色味がほどよく
強くなっている気がしました。
わたしがえらび、
イシバシが三個購入。
社に帰り分けてみんなで少しずつ。
梨のみずみずしさは格別。
なので、
しばらく梨。

 

・とんぼうの眼やふるさとはトタン屋根  野衾