翔平さんと岩手県

 

もう一冊、こちらは、大谷翔平さんにスポットを当てて書かれた本ですが、
こんな記述がありました。

 

岩手という地で十八年の歳月と時間を過ごした大谷を栗山監督はこう見つめている。
「翔平は、世の中的なものに左右されていないですよね。
大自然には人間はかなわないということを、
頭では考えたことがないと思いますが、
彼は何となく体で感じ取っているんじゃないですかね。
前にこんなことがあったんです。
あと3イニングスを投げれば防御率のタイトルを二年連続で獲れるというときに、
僕が『どうする?』と訊いたら、
翔平は『どっちでもいいです』って。
結果的にそのときは投げさせなかったんですが、
改めて当時のことを訊いたら
『うぅぅ~ん、(タイトルを)欲しくないというわけじゃないんですけど、
どっちでもいいですよね、そういうのは』
みたいな感じで言うんです。
そういう価値観なんですよね、翔平は」
(佐々木亨『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社、2018年、p.187)

 

これ、笑ってしまいます。
好きだ~、ここ。
本を読んだときに、プッと噴き出してしまいましたが、
いまこの箇所を入力していても、
やっぱり可笑しい。
おもしろい。
「どっちでもいい」という翔平さんの顔、
翔平さんのことばを耳にしたときの栗山監督の顔
(「へ?」とか「は?」とか、声が漏れたかもしれない)
を想像すると、
んー。
おもしろい。
体は大きいですけど、翔平さんの表情、野球少年そのものですものね。
あれって、稀有のことではないでしょうか。
ほんとに。
稀有稀有。
アメリカから日本へ来るのにチャーター機で4000万円かかっても、
おカネいっぱいもらっていますから、
そういうのは、
意に介さないのかもしれません。

 

・花誘ひ花の色にて風よ吹け  野衾