手を出さない本

 

どんなジャンルの本にかぎらず、文中にほぼ百パーセント、
関連書籍についての記述があり、
それを読んだら、
いま読んでいる本の理解がもっと深まるのではないかと思わされるものですから、
ついネット書店で検索し、
ポチッと。
それが一冊ならいいけれど、
二冊、三冊、それ以上…。
そうやってどんどん幾何級数的に本が増えていきます。
じぶんの興味関心を一本の木に喩えると、
幹から枝が伸びて、
枝からまた新しい枝が伸び、
その先の枝がさらにまた伸びて、
みたいなイメージ。
寿命が三百年ぐらいあれば、
それでもいいですが、
そんなことはありませんから、
幹をたいせつにし、枝の茂りを一定程度に抑えなければなりません。
興味がもたげてくるのは防ぎようがありませんが、
本を読むには一定の時間が必要ですから、
何を読むかの的を絞るために、
何を読まないかを心して定めることが課題になります。
きみは、それを買ってほんとうに読むつもりか?
読む時間があると思うのか?
その本を読む前に読む本があるのではないか?
そんな声を聴きながら、
ポチっと押さないこともあるけれど、
かえって力を籠めポチっと、
となってしまうことも間々あります。

 

・閲覧室窓夢うつつの桜  野衾