薬する勿れ

 

昔、漢の景帝の時に、呉楚七国が乱を起したとき、
周亞夫が大将となつてそれを討伐したのであるが、
或る夜中に、
周亞夫の軍中が故無くして騒ぎ立て、周亞夫が寝て居る室の近くまで騒ぎ立てた。
然るに周亞夫は、
静にじつとして寝てゐるままで動かなかつた。
その内にその騒ぎが根拠の無い事であることが分つたので、
鎮定したと云ふことである。
この話は史記・漢書などに載つて居る。
周亞夫が无妄の道に叶つて居るか如何かは姑く措いて、
「薬する勿れ、喜有り。」といふ言葉の一つの例にはなるであらう。
(公田連太郎[述]『易經講話 二』明徳出版社、1958年、pp.456-457)

 

弊社は、先月から二十二年目に入りました。
小さい会社の代表を務めながら、
プライベートとは別に、また、六三三四で体験した時間とは別に、
会社組織をいかに生き生きと、
いっしょに働く人がどうすれば仲良く疎外感を味わわずに仕事できるか、
それを考えてきた二十一年間でしたが、
いまも、そのことを継続して考えながら仕事をしています。
何ごとによらず、
ほんの小さな芽を見つけすぐの対応を考える
ことが大事な場面もありますが、
上で引用した箇所は、
それと反対の要諦を指し示していると思われ胸にしみます。

 

・押し黙り雲何処まで秋の宿  野衾