スマホデビュー

 

・とんとんとマーマレードの下準備

長く愛用していたガラケーを失くしてしまい、
八方手をつくしましたが、
結局出てくることがなく、
仕事柄もあり、
持たずに済ますわけにもゆかず、
これを機にスマートフォンに替えました。
スマホデビュー!
というわけで、
秋田の父の指ほどではありませんが、
けっこう太い指で、
いかにもおぼつかなげに
画面にさわり、
スライドさせたりして遊んでいます。
グーグル画面に入力するときは、
手ではもちろん、
声で入力できるようになってて、
ああこれか
ジャパネットの社長がテレビでやってたの。
というわけで、
さっそくやってみました。
「グーグルよグーグルさん、この世で一番きれいなひとは誰?」
?●♯▼♭@・÷▲=$&■?◎×%!?→↑←
アハハハハ…。
ふん!
なんだつまんない。

・山笑ひ俎板の音響きけり  野衾

円地源氏

 

・龍宮城夢と俳句で亀は鳴く

今度は円地文子訳源氏物語。
四六判上製函入り、
装画・題字は日本画家の高山辰雄。
1972年に刊行開始、
翌年には全十巻が出揃っています。
もちろん活版印刷。
いまは文庫本でも出ているようですが、
文字の美しさは比べようもありません。
比べてないけど。
文章は、
瀬戸内さんのがシャキシャキッ、キリキリッと与謝野的だったのに比し、
円地さんのはどちらかというと谷崎的かな。
潤一郎+晶子2で割る文子かな、
かな。
アメリカに行ったかなちゃん、
向こうのひとと結婚し赤ちゃんが生まれ里帰り、
久しぶりに先日声を聞きました。
かなちゃんというぐらいですから純和風。
だってかなちゃんなんだもの。
ジャパン・ビューティーで外国人は黙ってないでしょう。
それはともかく。
相変わらずの光源氏よのう。

・戦いに臨む我れ乗せ亀鳴けり  野衾

港町

 

・をちこちの同士集ひて春の立つ

出版社は港町である、
とは写真家橋本照嵩さんの名言。
昨日は、
文藝春秋前社長の
平尾隆弘さんを司会進行役に、
ミシマ社社長の三島邦弘さんをお招きし、
弊社で対談を行いました。
夕刻五時に始まった会が、
懇親会を交え、
終ってみれば
時計の針はなんと十時を回っていました。
愉快至極、
いろいろ触発される
なんとも楽しい会でした。
はしゃぎすぎ、
わたくし何をしゃべっているのか
分からなくなった場面も。
取材に来てくださった業界紙の方が、
大きい小さいはあれど、
同業を営む会社の社長が
和気藹々と歓談するということが、
他業種であるだろうかと
感慨深そうにおっしゃっていたことが印象に残りました。
なるほど。
そうかもしれません。
本への愛だなぁって。
さてきょうも原稿をがしがし読むぞ!

・立春や水道レバーの向きを変ふ  野衾

節分

 

・朝まだきひとの居ぬ間の猫の恋

子どものころ秋田の実家では豆まきをしていました。
ある時期だけそうだったのかもしれません。
都会に出てきてからは、
とんとしなくなりましたが、
前に勤めていた会社の社長が
すばらしく祭り好きな方で、
会社中
「鬼は~そと~~っ! 福は~うち~~っ!」
ってやってました。
その掛け声の音頭をとるのが
わたしの役目。
ビルの各階を回り豆を撒いたあと、
屋上に立ち、
これ以上は出ないという馬鹿でかい声で、
「あかばねのみなさま~~~っ、ほんじつはせつぶんで~~っす、
さあみんなで唱えましょうっ、鬼は~そと~~っ! 福は~うち~~っ!」
馬鹿ですね。
はい、
わたしも心底祭り好きな人間です。
ところで今日は、
ミシマ社の社長・三島邦弘さんとの対談です。
司会進行役は文藝春秋の前の社長・平尾隆弘さん。
出版不況の風が
さらに激しさを増している中、
すこしでも福が来るよう、
勉強したいと思います。

・とりあえず眠つてゐるか笑ふまで  野衾

ブレーカーダウンな気分

 

・朝まだき雨の音聴く春隣

ケータイを紛失したので、
すぐにパソコンから
一切の操作機能が使えぬよう家人に処理してもらい、
それから、
タクシーセンター、警察にも届けを出しました。
が、
いまのところ
失くしたモノは出てきていません。
ガラケーですから、
電話とメールと写真にだけしか使わないものの、
失くしたことに気づいた翌日、
つまり昨日は一日、
家のブレーカーがドンと落ち、
すべての電気が使えなくなったような感じで、
世のなかからひとり取り残された
気分を味わいました。
わたしのような機械音痴でも、
それだけ
ケータイまみれの生活になっていることの証でしょう。
一夜明け
今朝の気分はといえば、
かんかん照りの外で遊んでいた童《わらし》が
いきなり
暗い農家の土間に入り込み、
真っ暗にしか見えなかった家の中が
次第に薄ぼんやりしてきて落ち着くような、
そんな感じでしょうか。

・宅配や玄関前の十五秒  野衾

春隣

 

・夢見ての目覚めうつろふ二月かな

外へ出るとまだまだ寒い日が続きますが、
梅の花がほころび始め、
そこここの空気がぽわんほわんとして、
春が近いことを感じさせてくれます。
「春隣(はるとなり)」
という季語がありますが、
となりが春ですから、
こちらはまだ冬というわけで、
冬の季語。
が、
音だけ聴くと「春と成り」とも聞こえ、
春先のイメージが広がります。
ところで突然ですが、
わたくしケータイを失くしました。
どこに忘れたか、落としたか、
分かりません。
なんとなく今回はでてこない気がしていて、
さて、
これを機に、
スマートフォンに替えるべーか、
とも思っています。
ぼくでもできそうな京セラのベイシオとか。
そのようなわけで、
しばらく下の私写真はお休みします。

秋田魁新報文化欄に拙稿が掲載されました。
コチラです。

・鶯や鶯色を鳴いてをり  野衾