ショ~~~ック!

 

・春隣校庭の子ら縄跳びす

コーヒー豆が無くなりましたので、
会社帰りいつも行く帷子珈琲店に遠回り。
コーヒー一杯300円、
食べ物のメニューは一切なし
のコンセプトも功を奏したのか、
カウンターだけのお店は
客足が途絶えたことがないようです。
きのうも、
わたしの前に豆を買う人がふたりいました。
店の入り口に焙煎機があり、
仕入れた豆を定期的に焙煎しているのです。
「ありがとうございました。またお待ちしております」
前のお客が去ってわたしの番。
「お待たせしました。ブラジルと今日は何にいたしましょう?」
「何かおすすめありますか? この前はコロンビアでした」
「では、タンザニアなどいかがですか?」
「タンザニア。はい。それください」
コーチのショルダーバッグを持った若い男性が入ってきました。
つづいて黒のストッキング、ミニスカートの豊満な女性。
このひとけっこう見る。
前はもっとおとなしい恰好だったのに…。
さらにカップルのおじさんとおばさん。
「ちょっと電話してくる」
おばさんを中において、
おじさん外へ。
「お待ちどおさまでした。ブラジルとタンザニア。100gずつで1200円です」
「これでお願いします」
「はい。では300円のお釣り」
「ところでお店、オープンしてどれぐらいになりますか?」
「二年四か月です」
「二年四か月!」
「はい」
「そうですか。そうなりますか。いやどうも。ありがとうございました」
「ありがとうございました。またお待ちしております」
外へ出ると、
おじさんはまだ電話しておりました。
やれやれ。
爪も髭も速く伸びるはずだよ。

・鴨南蛮由来思案し食しけり  野衾

からだ君

 

・大は無論小をも息む寒さかな

あばれる君でなく。
ただいまアラカン街道まっしぐらなので、
あちこちいろいろ、
痛かったり痒かったり、
はたまた抜けたりゆるかったり固かったり、
忘れたり怒ったり…。
生まれたときからのつきあいですから、
からだ君もたいへんだ。
そもそも、
わたしというところのこのわたし、
いろいろああでもないこうでもないと考えている、
ぐずっている、ぼやいている、
叫んでいる、喜んでいる、
足掻いている、楽しんでいる、
生きている~~~、
てか。
つまり
いろんな感情だって、
からだ君あってのモノダネです。
からだ君が
わたしを浮かび上がらせてくれているのでしょう。
日々、
もうちょっと我慢して
オレに付き合ってくれよ、
なんて、
言い聞かせていますが、
それだって、
からだ君の全体が
自身に向かって呟いていることになる。
だから、
からだ君です。

・体から温いお湯出て生きている  野衾

トイレ用コイン

 

・たなごころチビゆきだるまとけにけり

二度目なので迷わず
「トイレ用コイン下さい」と申し出ましたが、
最初は戸惑いました。
本屋で本を買い、
トイレはどちらですかと尋ねると、
「二階に上がって左手にお回りください」
と教えてくれるや、
「これをどうぞ」と渡されたのが
百円玉のようなるソレ。
教えてもらったとおり歩いた先にトイレがあり、
ドアに設置された箱にコインを投入。
カチャリと音がし初めて
ドアを押し開けることができたのでした。
前回は本屋でもらいましたが、
今回は、
ルノアールでコーヒーを頼んですかさず
「トイレ用コインください」と。
店員は、
いつも所持しているらしく
サッと一枚出してくれたのでした。
トイレ周辺の店共通のコインで、
いずれかの店にお金を落とした利用客だけがつかえるトイレ
なのでしょう。
機能的といえば機能的。
でも、
田舎からでてきたお年寄りには
分かんねーだろうなぁ。
ま、
田舎からでてきたお年寄りが
六本木の駅近く
二階のトイレに行く確率は
極めて低いわけですが…。

・もらい酒瓶より直の寒夜かな  野衾

俳句の功徳

 

・寒に入り荒れて出口を失へり

俳論や句集は読みますが、
とくに先生についているわけではなく、
まったくの無手勝流。
ですが、
それでも
おもろいなぁと思うことはありまして、
こういう人までふくめると、
俳句人口て
むちゃくちゃ多いんだろうなぁ。
ことばとこんな風にあそべるというのは嬉しい。
人間探求派と称されるような俳人の
凄みのある俳句に驚いたり
尻込みしたり、
せきをしてもひとりと言われれば
ふたりじゃだめだろう
なんて。
よけいなことばっかり。
わたしとしては、
とほほ
とちから抜け、
まったくなぁ
と共感し、
しょうもな
と苦笑いしつつ
季節を感じられればそれでよく。
そんな句を読んだり
つくったりするのが楽しい。
また自分を笑うことで
ふ~と、
ひょいと外へ出られる
ような気がするのも俳句の功徳かと。

・そろそろの当てが外れて霙かな  野衾

角煮があれば

 

・雪だるま帰ってくるまで融けるなよ

豚の角煮は、
つくるとなるとたいへんで、
なにが大変かというと、
つくるまでの時間があまりにかかり過ぎること。
なのですが、
いったんつくってしまうと、
これほど応用範囲の広いものもないのでは、
と思えるぐらい、
角煮チャーハンでも、
角煮スープでも、
角煮丼でも、
いろいろ楽しめるし美味しい。
角煮スープは、
やわらなくなっている角煮を一個か二個、
ぐじゅぐじゅに砕いてお湯に入れ、
トマトとセロリを加え
塩で軽く味付けすれば、ん!
と思えるぐらい美味になります。
先週金曜日、
朝四時起きしてかかりましたが、
おかげでゆっくりまったりの角煮な休日を過ごせました。

・雪止まずシシュポス嫌気差して寝る  野衾

児童文学

 

・友を待つ朝の料理の愉しさや

仕事柄もあり
けっこう本を読んできましたが、
未踏のジャンルがありまして、
それは児童文学。
子どものころ、
里地里山で遊ぶことのほうが忙しく、
とても本など読んでいる暇はなく、
とくに興味もありませんでした。
エンデやトールキンを読んだのは、
学校を出てから。
近所のひかりちゃんが
読んで面白かったというので
『メアリー・ポピンズ』のシリーズに嵌まったのは、
つい数年前のこと。
こういうものを
子どものころに読んでいたら
とも思うのですが、
別に後悔しているわけではありません。
これからの楽しみとして
少しずつ登っていこうかなと。
それで、
登頂したころには
すっかり爺さんになっているというのも
悪くないか、
なんて思いながら
次は何にしようか考えています。

・友のかほ浮かべて朝の台所  野衾

しろばんば

 

・電車内広々したる炬燵かな

りなちゃんが読んでおもしろかったというので、
わたしもと。
むかし読んだような気もするのですが、
すっかり忘れています。
洪作少年の一喜一憂が
我がことのように感じられ、
こちらも一喜一憂。
たとえば小学校の運動会でのエピソード。
長距離競争を前に、
洪作が通う学校で教師をしている若い叔母のさき子は、
カミールという清涼剤を三粒、
洪作の手のひらに載せてくれます。
「これ上げる。これ呑んでおきなさい。よく駈けれるから」
五十名ほどの生徒がスタートラインにつきます。
さき子と「いい仲」の中川先生の「用意!」の声が、
洪作の五体に滲みわたります。
そしてつぎの文句。
「洪作は涙ぐましい気持になっていた。遠い未知の国へ遠征の途に上る者の気持であった」
大げさというなかれ!
長距離走を前に、
こんな気持ちにならない子どもがいるだろうか。
頁をめくるごとに、
凍結していた子どもの心が融け始め、
目がしらを熱く濡らします。
さき子からもらったカミールが効いたかして、
洪作はひとり抜き、
ふたり抜きして、
ついに
五等でゴールします。
そこに至るまでの描写というものは、もうもう。
泣けて泣けて、
なりふりかまわず、
声を出さずに
思いっきり泣きました。

・大寒や車中居眠る心地よさ  野衾

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