猫に敬礼

 

・けふの日の春を寿ぐうるう年

ガラケーからスマホに替えても、やることは、ほぼ同じ。
いや、ほぼでなく、
まったく。
電話、メール、写真。
三点セット。
グーグルで検索するのは便利でも、
パソコンでなく、
スマホで調べなければならないほど喫緊の案件など、
そんなにはありませんから。
ところで、
このごろやっと写真に慣れてきました。
初めて間もなくは、
撮ろうとすると、
画面がタテからヨコに九十度回転したりするから、
アっタマにきて、
「なんだこのヤロウ!」
スマホ画面をにらみボヤいていました。
が、
習うより慣れろということで。
おぼつかないながらパチパチやっています。
おとといでしたか、
よくつかう階段のところに
猫がおりまして。
だんだんぽかぽか陽気になってき、
猫も気持ちがいいのでしょう。
そうだ、写真写真、
と。
これをこうしてこうして、と。
そうしていろよ。うごくなよ。じっとして。じっと。
撮るよ。はお!!
なんだよ。
うごくなって言ったろ。
あ~あダメじゃん。
ん!?
ダメじゃなかった。
いいじゃん。
いいいい!
かえっていいのが撮れた。
ははは…
どうもどうも、どうもでした。

・ひかりの輪波紋はろばろ月おぼろ  野衾

得する気分

 

・お直しの古きコートの弛みかな

ふつう二月は28日までですが、
ことしは閏年なので29日があり、
ちょっと得する気分。
これで休みだと
もっと得する気分を味わえるのですが、
世の中そんなに甘くない。
今月来月と、
一年でいちばん仕事が立て込む時期なので、
仕事で例年よりも
一日多く使えるということで、
無駄なく有効にすごしたいと思います。
ところで、
インフルエンザが流行ってるなあ。

・マスクマンマスクウーマン闊歩せり  野衾

スマホ体験

 

・朝一時母の声にて起こさるる

スマートフォンにして二週間ぐらいたちましたかね。
ようやく慣れてきました。
やれやれ。
つかってみて改めて、
ガラケーより画面がデカくていい。
文字入力のとき指先にストレスがかからないのでアタマにやさしい、
それからすぐにインターネットにつなげられ、
グーグルなどで検索できる、
などなど、
便利なことは便利です。
もっともインターネットへの接続は、
ガラケーからでもできたんだとは思いますが、
面倒なので、
やってませんでした。
とにかく、
指で考えるタイプのわたしとしては、
入力のストレスがないというのは
何よりありがたく。
にしても、
バッテリーがすぐ無くなるのが玉に瑕。
たんまり100%で安心安心
と思いきや、
小林康治の

音立てて竹が皮脱ぐ月夜かな

ではありませんが、

音たててスマホ力を失くしけり

すぐ86%だ64%だ42%だ23%だとなって、
おいおい、
待てよそんなに勢いづくなよ、
と声をかけてみたり。
でもって、
やたら広告メールが届くのも五月蝿い。
届かないようにする方法がきっとあるんだろうけど、
おら知らない。
ふ~

・大麦より霞たなびく井内まで  野衾

きりりもわっと

 

・文を読む頭も景も皆おぼろ

あさの出掛け、
保土ヶ谷橋の交差点で信号を青になるのを待つ間、
井土ヶ谷方面から、
ゆるい下り坂をクルマが
雪崩を打ったように押し寄せてきます。
このごろは、
ワゴン車というのでしょうか、
メーカーはさまざまなれど、
似たような形のクルマが多くなりました。
ひとも荷物も多く詰め込むことができ、
それでいて燃費がいいもの
ということなのでしょう。
正面の窓が広く大きく取ってあり、
ノーズがちょこんとカットされ、
かわいいブルドックのような表情をしています。
保土ヶ谷橋交差点のすぐそばに
日本共産党のポスターが貼ってあり、
きりりもわっと志位和夫さん。
やはり。
政治家は、
ユニークな顔の人が多くいますが、
志位さんもご多分にもれずとてもユニークで、
あの顔は、
最近のワゴン車のノーズによく似ていらっしゃる。
鼻から上唇にかけてのラインが、
ワゴン車の正面ボンネットの曲線にそっくり。
日本共産党がこのごろ頑張っているのは、
政治理論もさることながら、
ひょっとしたら、
志位さんの
あの憎めない顔つきに由来するところ大なのではないかしらん。
てなことを考えているうちに、
信号が青に変りました。

・朧月横浜港の汽笛かな  野衾

ポテチ二点

 

・朝ぼらけ俎(まないた)山に春が来る

ふだんポテトチップスをそれほど食べる人間ではないのですが、
袋のデザインや写真に惹かれ、
つい買ってしまい、
食べてみたらば
あ~らら、
というようなことはたまにあります。
山芳製菓の北海道リッチバターがそれでした。
以来数年たち、
あのときほどの衝撃力あるポテチに
なかなか出遭えないまま今日に至っていたところ、
ワン・ツーと続けざまに、
わが味覚にぴたりと来るポテチに
ひさびさめぐり合いました。
コイケヤの
「季節限定 じゃがいも心地(ごこち)北海道グラタン味」
「旨し、香ばし、三度揚げ 頑固あげポテト 九州うまくちしょうゆ味」
スーパーマーケットの
店先に置かれていた「じゃがいも心地」をまず買って、
家に帰って食べてみたら、
文句のつけようがなく美味しくて、
翌日また買いに行ったら、
となりの
「頑固あげポテト」に目が行き、
それも合わせて買って帰って食べてみたらば、
これまた、
文句つけようがなく旨かった。
旨し、香ばし、三度食べ、
というわけで、
食べきってしまいましたから、
写真は袋のみ。

・山仰ぐ祖母のまなこの霞かな  野衾

子の名あそび

 

・小走りがケータイ盗み霞みけり

昼でも朝子

朝でも夕子

きのうの今日子

明日でも今日子

ずっと好物なのにあき子

背が低い高子

悪いのに良子

日暮し硯のかなかな子

四角くてもまる子

親を泣かせる孝子

渋面をやめないえみ子

真実はいつもひとつと呪文を唱えるコナンな真知子

不運なさち子

人生いろいろ女もいろいろ

男もいろいろ

攻めているのにまもる…

ロケット発射

・鳶が二羽羽を並べて逆さ落つ  野衾

蕎麦このごろ

 

・一杯の愉しみのため春の宵

駅の立ち食い蕎麦は例外的に食べ、
それ以外は饂飩でした。
が、
気がついてみれば、
このごろ饂飩をとんと口にせず、
蕎麦ばかり食しています。
せいろ蕎麦、なめこ蕎麦、天ぷら蕎麦、鰊蕎麦、鴨南蛮蕎麦…。
思い出すだけで唾が。
「大将、この鴨肉美味しいねえ」
「ちょっと炙ってそれから煮ているから香ばしいでしょ」
「そうなんだね。うん。美味しい!」
朝、
桜木町駅から歩いて本町小学校の横を通るとき、
左へ折れる前に、
ちらと太宗庵の幟旗が出ているかを確かめ、
出ていれば、
よし今日の昼も蕎麦食べよと
みずからに言い聞かせ、
それから
グラウンドで走り回る子らを目で追って、
一日の予定を思い浮かべながら
階段を上ります。
今日は夕刻から
橋本さんと千代田区立図書館。

・三尺の前の背中も蕎麦啜る  野衾