母の誕生日

 

・台風で帽子吹っ飛ぶ真昼どき

きのうは母の誕生日でした。
母の誕生日は
奇しくも弟の誕生日でもあるので、
記念日が重なり、
したがって
物忘れのひどいわたしなのに、
今のところ忘却の危険を免れています。
朝、母に電話を入れました。
ぷるるー、ぷるるーと何度かの呼び出し音が鳴りまして、
やがて、かちゃ。
電話に出たのは母でした。
だいたい母が出るのです。
気恥ずかしさを堪え、
「誕生日おめでとう」と告げるや、
電話口の声が急に明るくなり、
まるで恋人から
プレゼントでももらったときのように、
はしゃいでいるのが
こちらに伝わってきます。
そんなに喜んでもらえるか…。
ありがたいことです。
きのうは仕事で遠出しましたが、
一日気持ちよく過ごせたのは、
訪問した装丁家の方の仕事ぶりに
感動したことが大きな理由ですが、
朝の電話一本も
少なからずそのことに与っていたと思われます。

・天気図にひねくれ蛇の野分かな  野衾