お盆

 

・解られずやることをやれ夏の空

お盆が近づいてきました。
ふるさとの友人からメールがあり。
正月は正月でわくわくしますが、
お盆が近づくこのころの気持ちは格別で。
秋田県一日市(ひといち)の盆踊りの歌詞に、
「盆の十三日正月から待ぢだ」
の文句がありますが、
正月からというのは少し大げさな気もしますが、
分からないでもない。
一日市の盆踊りを、
近くなのにまだ見たことがなく、
一度見てみたい。
お盆となるとどうしても
あの世のことを考える、
というよりもふわりするりと思っている。
この世とあの世ということが、
ほかのときならなんとなく他人事で、
なにやら抽象的でもあるのに、
この時期になると、
観念が足下に触れてやってくるとでもいうのか。
ほとんど毎日、
亡くなった祖父母のちいさな遺影の前で
鉦を鳴らし
手を合わせていても、
なかなか姿を現してくれない声を聞かせてくれないのに、
この時期になると、
近づいてきて声をかけられる。
ああそうだよ。
んだよ。
んだて。
んだんだ…。
物忘れが激しくても
人の顔は忘れない自信があるのに、
ふるさとに帰り
知らない顔に出くわすと、
ああこの人は他所から来た人なんだと思うけど、
他所とはこの世の他所なのか
はたまた、
なんてね。
ともかくも、
ふだんと違う、
たとえば墓の裏にだって
滑っていく気がするよ。

・そこに居て何が見えるか夏の雲  野衾