心にビタミン

 

・マスクしてヒト科カラスのお通りだ

NHKスペシャル「3.11 あの日から2年 何が命をつないだのか
~発掘記録・知られざる救出劇~」を見ました。
こういう番組は、
NHKにかないません。
震災後、
陸の孤島のようになってしまった
牡鹿半島の漁村に食料を届けたのは、
静岡で震災報道を見ていた漁師たちの船でした。
先頭に立った男性は、
子どものころに、
同じく漁師をしていた祖父から、
伊勢湾台風に襲われた際、
三陸地方の漁師たちの援助を受けたことを聞かされ、
それをしっかり憶えていて、
祖父が受けた恩義を返したい気持ちもあり、
被災地の漁村に食料を届けたのでした。
それにしても、
番組で取り上げられていた人びとの、
なんとしっかりした面立ちなのでしょう。
食料を届けてもらった漁村のリーダーは、
「ありがたかったあのときの気持ちは、
生きているかぎり忘れない」と語っていました。
人が人を思いやる、
恩に報いることは
理屈抜きの人の道だと思います。

『アンヘリカの選択』の作者・丸岡永乃さんが、
読売新聞に取り上げられました。
記事は、コチラです。

・なんだこりや春が来ぬうち夏来たる  野衾

anti-fatigue

・三月が日数羽して飛んでゆく

昨年、
ご近所で親しくしている方の車に乗せてもらい
アウトレットへ行ったとき、
いくつかの品を買いましたが、
そのなかに、
Timberlandのワークブーツがありました。
棚に並んだその靴に七割引の札が貼られてありました。
七割引?!
ほんと!?
近づいて見るも、
やっぱり七割引。間違いありません。
試着したらサイズもぴったり。
迷わずに買いました。
箱にも入れず、
ビニール袋に入れて渡されたところから判断するに、
見切り品だったのかもしれません。
見切り品だろうとなんだろうと、
そんなの関係ありません。
色も格好も材質も気に入りましたから、
アウトレットさまさま。
そういう品だったわけですが、
きのう、初めて履いてみました。
初めてなので、
靴擦れを起こすかなと心配しましたが、
微塵もそんな気配はありません。
どころか、
一歩一歩歩くたびに、
足の裏がちょうど真ん中へんで軟らかく折れる具合、
つぎの歩みを靴底が押し出してくれるようです。
履き心地抜群!
あまりの履き心地の好さに驚き、
会社の近く成田山横浜別院脇の急勾配の階段に座り、
靴を脱いで調べてみました。
そうしたら、
anti-fatigueと書いてあるではありませんか。
fatigueは、疲れ。
antiは否定の接頭辞。
てえことは、
anti-fatigue=疲れ知らず!!
な~るほど。
履きやすいはずだぁ。
家に帰って晩御飯を食べた後、
新聞紙を広げ、
念入りにミンクオイルを塗っておきました。

・まず一つ下版済ませて桜かな  野衾

頭上マスク

 

・足の裏抜けてぼっかり春うらら

先日、名古屋に行った折、
家人の姪っ子たちにも会ってきました。
さきちゃんとゆうきちゃん。
小学四年と一年の女子で、
いつも元気はつらつ、
とくに下のゆうきちゃんは、
まるでねずみ花火のごとく
いのちがパチパチ爆ぜてでもいるようです。
二人ともありがたいことに
わたしにとてもなついてくれて、
逢えばいっしょに遊んでくれます。
わたしのなかの子どもが
一気にいのちを吹き返し、
三人トリオとなってメリーゴーラウンド。
電車の中では
わたしのとなりにゆうきちゃん。
何を思ったか、
わたしの被っていた黒い毛糸の帽子を
いきなりさっと取り除けました。
わたしもつられて
さっと、
口にしていたマスクを頭上にずらしました。
帽子を取られ
坊主頭が不意に寒くなり、
とっさに思いついたアイディアで、
それほどのアイディアとも思いませんでしたが、
義理の母をはじめ
車輌中大笑い、
笑いの合唱が起きました。
わたしはもともと目立ちたがりですから、
皆さんに喜んでもらえて
嬉しいかぎり。
わたしも腹を抱えて大笑い。
ああスッキリした。
ああ気持ちよかった。
さきちゃんもゆうきちゃんも笑っています。
春はそこまで来ています。

・いつまでもそこには居ない桜かな  野衾

グチグチ考える

 

・三月もありがとさんで過ごしたい

板橋興宗(いたばし・こうしゅう)さんの
『息身佛 ただ、息をする。ただ、生きる。』を読みました。
息身佛と書いて、
そくしんぶつ。
ふつう、そくしんぶつと云うと、
即身佛と書きますが、
息身佛とあえて書くところに
板橋さんの思いが込められているようです。
板橋さんは宮城県出身。
1927(昭和2)年生まれですから、
現在八十五歳。
曹洞宗の大本山・總持寺貫首を務めた方で、
以前、
『大峯千日回峰行 修験道の荒行』を読んだとき、
語り手の塩沼亮潤さんの話は
もちろん面白かったですが、
時間がたつほどに、
聞き手の板橋さんの柔らかい言葉と
聞き方が気になり、
気になるというよりも、
いいなぁと思う気持ちが強くなりまして、
なんとなく、
板橋さんの本を読みたくなりました。
今度は、
板橋さんが語り手となりインタビューに答えたもので、
とても分かりやすく面白い。
文中に何度もでてくる言葉がありました。
「グチグチ考える」「グチグチ悩む」
グチグチグチグチグチグチグチグチグチグチ…。
まさしく。
澤木さんの本もそうでしたが、
えらいお坊さんの本を読むと、
あたりまえそうな話を
分かりやすく書いてあって、
楽しく、
ためにもなりそうですが、
だいたいためにはなりません。
書いてあることがまずできないから。
「ここまで到達するのに何十年も自問自答し、苦悩してきました」
といわれれば、
そうなんだろうなあと納得します。
難しそうなことでないのに。
読んで理解することとできることは違います。
そういうことを考えさせられる本でした。

・煙草吸ふ女の指の白さかな  野衾

野毛三山

 

・合格の知らせにぎはふひかりかな

伊勢山、野毛山、掃部(かもん)山、
あわせて野毛三山と云うそうで。
弊社が入っている建物は、
伊勢山の一角、
伊勢山皇大神宮のすぐ下にありますが、
朝と昼、
出社時と昼食後、
いろんなルートでちょっとした山登りを味わえます。
このごろの楽しみです。
はは~、
こういう小路もあったのか。
きのうは、
成田山横浜別院の、
赤い小さな鳥居が重なる小路をひやかし、
池の亀を眺めたりしながらゆっくりゆっくり。
さらにゆっくり登りきり。
ちょっとこちらへ行ってみようか。
なんの種類か分かりませんが、
梅ではない桜が咲き始めています。
うふふふふ。
豪勢な邸宅から、
女性がコツコツとヒールの音をたて
あわてている風で門に近づいてきました。
あわてすぎると凄まじいですが、
すぎないのはセクシー。
ギー。
と。
ギー。
スマートフォンを見ながら歩いていきます。
一寸立ち止まり、
塀の側の日陰に寄りました。
陽射しが強くて画面がよく見えないのでしょう。
やがて。
コツコツコツコツ…、
坂を下っていきました。

・沈丁花かほりたずねて散歩かな  野衾