グチグチ考える

 

・三月もありがとさんで過ごしたい

板橋興宗(いたばし・こうしゅう)さんの
『息身佛 ただ、息をする。ただ、生きる。』を読みました。
息身佛と書いて、
そくしんぶつ。
ふつう、そくしんぶつと云うと、
即身佛と書きますが、
息身佛とあえて書くところに
板橋さんの思いが込められているようです。
板橋さんは宮城県出身。
1927(昭和2)年生まれですから、
現在八十五歳。
曹洞宗の大本山・總持寺貫首を務めた方で、
以前、
『大峯千日回峰行 修験道の荒行』を読んだとき、
語り手の塩沼亮潤さんの話は
もちろん面白かったですが、
時間がたつほどに、
聞き手の板橋さんの柔らかい言葉と
聞き方が気になり、
気になるというよりも、
いいなぁと思う気持ちが強くなりまして、
なんとなく、
板橋さんの本を読みたくなりました。
今度は、
板橋さんが語り手となりインタビューに答えたもので、
とても分かりやすく面白い。
文中に何度もでてくる言葉がありました。
「グチグチ考える」「グチグチ悩む」
グチグチグチグチグチグチグチグチグチグチ…。
まさしく。
澤木さんの本もそうでしたが、
えらいお坊さんの本を読むと、
あたりまえそうな話を
分かりやすく書いてあって、
楽しく、
ためにもなりそうですが、
だいたいためにはなりません。
書いてあることがまずできないから。
「ここまで到達するのに何十年も自問自答し、苦悩してきました」
といわれれば、
そうなんだろうなあと納得します。
難しそうなことでないのに。
読んで理解することとできることは違います。
そういうことを考えさせられる本でした。

・煙草吸ふ女の指の白さかな  野衾