イボ

 重き足数へし月や夏来たる
「あのー、左足の薬指に変な赤いモノができたんですけど、数年前からあるにはあったんですが、このごろ、と言っても突然というわけでもないんですが、少し大きくなった気がしまして、それでちょっと診ていただいたほうがいいのかなぁ、なんて思いましてですね…。えーと、これなんですけどね…」
「ああ、これ。イボですね」
「は。いぼ!? あのー、ただのイボですか」
「ええ。ただかどうかはわかりませんが、イボですね。液体窒素を塗っておきましょう。ちょっとピリッとしますが、水ぶくれになって、それから黒くなって、1週間もすればポロッととれますよ」
「はあ。ポロッとですか…」
「ポロッと。特に塗り薬も飲み薬も出しません。まあ、またなんかあったら来てください。お大事に」
「あ、どうも。ありがとうございました」
「はい。次のかたー」
 というわけで、人騒がせなイボ君でした。ま、わたしだけが騒いだわけですが…。

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