漢和辞典の意外な効用

 

以前に比べ、漢和辞典を開くことが多くなりました。
仕事がら、
辞書を開くことが少なくありません
けれど、
気がつけば、
いろいろある辞典のなかで、
このごろは、
なにかにつけ、漢和辞典を開いているような。
漢字、熟語を調べるのはもちろん、
調べる必要がない時でも、
なんとなく、
ただなんとなく、漢和辞典を持ち出して、
調べるんではなく、
バサリ開いて、
適当に目を近づけ、場当たり的に読んでいる。
これが、ちょっと楽しい。
辞書は『字通』でも、『大漢和』でも、先ごろ購入したけっこうボロボロの
(補修しました)簡野道明の古い『字源』でもよく。
片手で持てないほどの重さがいいのか、
説明が短くていいのか、
親字はともかく、
ほかの文字たちはやたら小さくて、
辞書を開いたときに広がる風景が、空飛ぶ鳥が下を見たら人間も建物も、こんな具合かもな、
と、
妙な想像が浮かんで来るところがいいのか。
分かりません。
が、
そうしているうちに、
なんとなく、
気持ちは、落ち着いてくる。
読書の亀は、このごろこんなところを歩いています。

 

・秋深し珈琲の香の苦きかな  野衾