こころの手

 

友人の奥さんが介護施設の施設長として働いており、
新聞の取材に答えた記事を
ネットで読みました。
記事中
「入所者は、家族に会えないことへの不安が健康面に大きく影響する。
面会を禁止にしても、
家族と顔を合わせ、言葉を交わせる場はつくっていく」
との彼女の言葉が紹介されています。
ふかく共感しました。
わたしの両親は秋田で二人住まいですが、
ちかくに父の弟夫婦が住んでおり、
また、
週に一度はわたしの弟があれこれ食料などを買って訪問し、
食事を作ってあげたり、
かゆい所に手が届く世話をしてくれるおかげで、
年齢から来る痛みはあっても、
夫婦仲良く暮らしています。
ありがたいことだと感謝しています。
とおく離れているわたしにできることといえば、
ときどき電話をかけるぐらい
ですが、
父も母も、
わたしの声を聴くだけで喜んでくれますし、
わたしも、
ふたりの元気な声を聴けばうれしい。
家族との触れ合いは、
まず声なのだなと実感します。
声を聴き、
言葉を交わすことは、
いわば、
こころの手のひらに触れるようなもの。
コロナ禍で、
そのことの意味がはっきりしてきたように思います。

 

・雨止んでそろり出番の蟬の声  野衾