なとだてな

 

このごろ秋田に電話すると、
父の言葉のなかに割と頻繁に登場する単語がありまして。
それが
「なとだてな」
新型コロナの感染が収まらないことを嘆く場面でつかわれます。
「いったいぜんたい、どうなってるんだ、まったく」
ぐらいのニュアンスでしょうか。
方言は、
いずれ劣らずそうですが、
表記がむずかしく、
「なとだてな」の場合も、
はじまりの「な」と、
2音目の「と」のあいだに、
ほんの小さく撥音の「ん」が入るようです。
仮に字の大きさで言うならば、
「なとだてな」の5音が16ポイントだとして、
「ん」は6ポイントぐらい、
いや、
もっと小さいかもしれません、
読めないぐらいに。
お盆もどうやら帰省が叶わぬようですから、
せめて馴染んだ言葉で、
ふるさとを味わうしかありません。

 

・祖母屈み居る屋根付きの井戸清水  野衾