街を歩いていても、
電車内でも、
このごろは圧倒的にマスクをしている人のほうが多くなりました。
たまにマスクなしの人を見ると、
そこに目が行ってしまうぐらいに。
先日、
初めて来社する大学の先生がありました。
こちらもマスクをしていましたが、
打ち合わせの間、
先生もずっとマスクのまま。
目は口ほどに物を言うとされてきましたが、
近ごろは、
さらにいっそう物を言います。
日本人はこれまで、
相手を見ないで話すともいわれてきたけれど、
大事な打ち合わせですから、
わたしも先生も目は直視したまま。
と、
話し合いがだいたい済んだので、
コーヒーを淹れて出しました。
このとき、
先生、
おもむろにマスクを外した。
その所作がなんともやわらかく、ゆっくりと、
それでいて無駄がなく、
見ていて、
なんだか少しドキドキしました。
さて、
きのうのことです。
帰宅途中、
保土ヶ谷橋の交差点に立ち、
信号が変わるのを待っていたところ、
すぐ近くに立っていた若い女性がマスクをずらして何か飲みはじめました。
おや?と目が留まった。
マスクを鼻の方へずらして飲んでいます。
なんとなくですが、
違和感がありました。
じぶんだったらどうするだろう。
マスクを外さないとすれば、
上でなく、顎のほうへずらしてから飲むのでは…。
たかがマスクですが、
これほど日常に浸透してくると、
ちいさいドラマがあちこちに生じているようです。
・夕涼や東の丘の翳りゆく 野衾