港町横濱よもやま日記

 

はい。このブログのタイトルです。
けさ見た夢の中で、
会社を離れ、
青森近辺まで来ていて、さて、どこでブログを書こうか、
などと考えていました。
一日の始まりにこれを書く
ということをこころに決めてから、
ほぼ二十年が経ちました。
これまた過ぎてしまえばアッという間。
会社を立ち上げて二年目ぐらい
だったしょうか、
出張で九州の山中に泊まったことがありました。
一度決めたことはとことんやりぬくと決めてはいたものの、
泊まった宿にパソコンがなく、
仕方がないので、
手書きの文章を会社にファックスで送り、
当時の編集長が、
それをアップしてくれたのでした。
農家で飼われている鶏の声が辺りに木霊していたっけ。
なつかしい思い出です。

 

・たづねきて空山ひとり初音かな  野衾

 

免疫となれば

 

人間の免疫システムの新型コロナウイルスへの反応が
インフルエンザの場合と同じ、
と、
オーストラリアの研究グループが発表したそう。
免疫という言葉に、
わたしはパブロフの犬のごとくに反応してしまう。
なぜなら、
世話になっている鍼灸の先生が
施術のたびに口にするから。
鍼も灸も即効性はない(あるものもある)
けれど、
新型コロナウイルスの特効薬が見つかっていない現在、
自宅にいることが多くなり、
鍼はじぶんでできないにしても、
お灸はじぶんでできるから、
予防のため、
また、
感染していたとしても軽症で済ませるために、
免疫力アップを図りせっせとお灸するのはどうでしょう。
お灸は今のところ売り切れてないし。

 

・黝々と闇の香深し沈丁花  野衾

 

沈丁花は

 

帰宅の道のさいごの難関、
心臓破りの階段を上ってハアハア息をしていたら、
ふいにいい香りが鼻をついた。
沈丁花。
きょろきょろ見渡したが、
夜ということもあってかそれらしき花は見つからない。
しかしまちがいなく沈丁花だ。
コロナで戦々恐々としているうちにも、
季節は確実にめぐっている。
わたしが使っている
『合本俳句歳時記第三版』(角川書店編)
には、
「和名の由来は沈香と丁字の香りをあわせ持つからとも、
香りは沈香で花の形は丁字であるからともいわれる」
とある。
中国原産で、漢名は瑞香。
そういわれてみると、たしかに沈香のかおりに似ている。
きのうの朝、
鶯の声をことし初めて聴いた。

 

・沈丁花闇の深さを量りかね  野衾

 

気をつけたい

 

何事も入りたたぬさましたるぞよき。
よき人は、
知りたる事とてさのみ知り顔にやは言ふ。
かた田舎よりさし出でたる人こそ、
よろづの道に心得たるよしのさしいらへはすれ。
されば、
世に恥づかしきかたもあれど、
みづからもいみじと思へる気色、かたくななり。
よくわきまへたる道には必ず口重く、
問はぬ限りは言はぬこそいみじけれ。
(『徒然草』第七十九段)

 

「入り立つ」は物事に深く立ち入る、通じること。
「入りたたぬ」はその否定形で、
よく分からない、くわしくないこと。
田舎生まれであることは恥ではありませんが、
ここでいわれているいわゆる「田舎者」は
いかにも恥ずかしく、
そうならないよう気をつけたい。

 

・開花待つ空宇宙船地球号  野衾

 

ゲーテの老人力

 

「とにかく、私には、
自分の作品がぜんぜん見おぼえがなくなってしまっていることが、
よくあるね。
このあいだもあるフランスのものを読んで、
この人はなかなか気のきいたことを言うな、
私自身でもこうとしか言わないだろう、
などと読みながら考えたものだ。
ところが、よく見てみると、
私自身の書いたものからの翻訳じゃないか!」
(エッカーマン著/山下肇訳『ゲーテとの対話(上)』岩波文庫、1968年、p.255)

 

この会話がなされたのは、1827年1月14日、日曜日夜のこと。
ゲーテは1749年生まれだから、
このときすでに75歳を過ぎている。
年齢を考えると、さもありなん、ということだが、
あの文豪ゲーテにしてこうだったのか
と思うと、
ほほえましい気がする。

 

・俯きて旧知の友の春が来る  野衾

 

春は揚げ物!?

 

鮨屋の前を通っていたら、
「春は揚げ物」という文字と揚げ物の写真が目に飛び込んできた。
あけぼの、でなく、揚げ物。
上手い!と思って、
きょうのこの日記にたっぷり書こうと思ったが、
ネットで調べてみると、
けっこう前から、
お惣菜屋などのポップに書かれていたらしい。
さいしょ誰かが面白いと思って使ったのが広がったのか?
その辺よく分からないけれど、
面白いは面白い。
その伝で、
夏、秋、冬、と考えても、
「春は揚げ物」に匹敵するのはちょっと思いつかない。

 

・里山は何で顫へる垂れ梅  野衾

 

商品知識

 

どんな商売でも、
じぶんのところで扱っている商品について
どれだけ知っているかは
とても重要ですが、
そのことを近ごろ改めて気づかせてもらいました。
保土ヶ谷橋近くにある菓子舗「こけし」
のことは
すでにこの欄で紹介しましたが、
その後もちょくちょく寄っては好みのお菓子を買い、
その場で女将さんとしばらく話をします。
「これはどういうお菓子ですか?」
と問えば、
「それは○○製菓の△△です」
「これはどういうお菓子ですか?」
と問えば、
「それは☆☆製菓の□□です」
とすぐに答えが返ってきます。
「そこは昔からある会社で、つづいてほしいですね。
いい会社でも、つづけることが難しくて止めてしまうところもあります」
と女将さん。
なにか商売の基本を教えてもらったように思いました。

 

・天然色自転車乗りの春が行く  野衾