ある感じ

 

今月二十五日がわたしの誕生日で、
その日の夜に義理の姪っこから電話がありました。
六十二歳になった感想を訊かれ、
気持ちが
子どもの頃とあまり変わらないのに、
からだの衰えは如何ともしがたい、
みたいなことを口にした。
電話を切った後、
ふとんに横になってつらつら考えているうちに、
ふと気づいた。
十代二十代の頃は、
こころがからだに埋まっていた。
餡子のような。
それがいつの頃からか、
この頃は、
こころがからだを覆っている。
テレビで一枚の写真を示し、
ある箇所が少しずつ少しずつ変化し、
さいごはだれがみても大きく変化している、
さあそれはどこでしょうか?
というようなクイズがありました。
あんな感じ。
からだに埋まっていた餡子が、
いや、
こころが沁み出し、
いまではからだを覆い、
だけでなく、
見るもの聞くものなんでも世界を包んでいる。
そんな感じでしょうか。

 

・誘はれて月見宴(うたげ)の座頭かな  野衾