『ことばのポトラック』

 

 突風のごとく襲はる沈丁花

東日本大震災が起きたのが昨年の三月。
それから半年後、
社員一同で宮城県石巻を訪ねました。
写真家の橋本照嵩さんが案内してくれました。
その前日、
みんなで仙台市の八木山を歩いていたとき、
ケータイが鳴りました。
会社で留守番をしてくれているNさんからでした。
佐々木さんという人から電話があったと。
どこの佐々木さんだろう?
「どんな感じだった?」
「素朴な感じでした」
光郎さんかな?
わたしのケータイの番号を教えたので、
間もなく電話がいくはずだからよろしくとNさん。
ケータイ電話が鳴りました。
佐々木幹郎さん、
詩人の佐々木さんでした。
作家の大竹昭子さんの発案で、
震災後に渋谷のサラヴァ東京を会場にし、
(サラヴァをわたしは最初、日本語の「さらば」と勘違い。
そうか、東京はダメだからおさらばさらば、
東京におさらばするんだな)
作家、詩人、歌人、写真家たちが
新作を持ち寄り朗読するイベントをおこなっている。
それが「ことばのポトラック」
これからも回を重ね、
一年を期して本にしようと考えているが、
春風社でやってもらえないだろうか、云々。
うれしくて、
ケータイを持つ手がふるえた。
たしか、
「うちでいいんですか」と申し上げたはず。
うちでよければ喜んでやらせていただきます、とも。
その本が今日出来てきます。
書名は『ことばのポトラック』
A5判変形、398ページで定価1890円(税込)
安い! 自ら言います。
ポトラックとは、
持ち寄り料理のことです。
物を食べなければ生きていけない人間はまた、
ことばを食べて消化し栄養にする動物です。
いつしか食べたものを、食べたことすら忘れても。
だから、ことばのポトラック。
ぜひ手にとって読んでみてください。
きっと栄養になることばがみつかるはずです。
持ち寄ってくださった方は、以下の通り。(敬称を略します)
佐々木幹郎、平田俊子、古川日出男、堀江敏幸、ルクレジオ、管啓次郎、くぼたのぞみ、南映子、閒村俊一、ピエール・バルー、Ayuo、小池昌代、東直子、温又柔、デビット・ゾペティ、ヴァルデマル・サンチアゴ、くぼたのぞみ、高橋ブランカ、レナ・ジュンタ、旦敬介、清岡智比古、関口裕昭、稲葉真弓、文月悠光、唐作桂子、ミーヨン、穂村弘、栗木京子、石川美南、岡井隆、早稲田短歌会、谷川俊太郎、高橋睦郎、畠山直哉、保坂和志、河瀨直美、角田光代、スズキコージ、アツコ・バルー、森村泰昌、長島有里枝、大竹昭子、片岡義男