よこはま村へようこそ

 

 ネジ緩み春のうららの毀(こぼ)たれり

今月刊行予定『突撃!よこはま村の100人 自転車記者が行く』
の販売打ち合わせのために、
神奈川新聞社の佐藤記者、我が社の大木といっしょに、
三人で伊勢佐木町にある有隣堂本店へ。
佐藤記者は、
肩書(?)どおり今日も自転車。
ご多用中にもかかわらず時間を割いて下さり、
こちらの思いの丈を
じっくり聞いて下さった有隣堂の加藤さん、
ありがとうございました。
「よこはまの100人」でなく、
「よこはま村の100人」としたのには訳があります。
むかしここに横浜村があったというだけでなく、
日本語の村、英語のビレッジ、
フランス語のビラージュには歴史があり、
声高に絆(きずな)と叫ばなくても、
人と人とは自ずから情愛が通いあっていた気がします。
絆という字には何の責任もありませんが、
金子みすゞの詩と同様に、
こんだけ連呼されると少々食傷気味にもなり、
フレッシュな気持ちで
人生や、
人への関心と関係の郷愁と創造を想起させる
ことばとしての「村」をえらびました。
「よこはま村へようこそ」のこころです。
歴史上の横浜村はなくなりましたが、
人と人が織り成すよこはま村は連綿とつながり、
今日も笑顔で招いています。
そういう人たちを、
そういう人たちの物語を、
この本はていねいに紹介しています。
富士には月見草、
村には自転車がよく似合います。

 そら墜ちて春爛漫の眠りかな  野衾