何雯娜

 盆帰省ジーンズケータイ文庫本
 帰省中、家にいるときは、ほとんどテレビでオリンピックを見ていたが、トランポリン中国女子の何雯娜選手の演技に釘付けになった。
 表彰式に華やかなドレスを着て登場するコンパニオン(て言うのか? あの笑顔も訓練したのだろう。以前勤めていた会社の社長を連れ中国視察旅行に行ったとき、長距離列車の女性車掌がニコリともしなかったことを思い出す。そうか、必要ないとなれば、笑顔も見せないのだな…。それはともかく)が、いかにも中国13億人の中から選ばれた美女軍団であるのに対し、競技をする選手達は、どうもあまりパッとしない。でも、強い。顔でなく運動能力で選ばれているのだから、あたりまえか。
 ところが、何雯娜選手。顔は、イシンバエワのような超美人、というわけではないが、まあ、可愛い。それだけなら、へぇ、中国でも可愛い選手がいるんだ、で済んだかもしれない。目をみはったのは、演技に入ってから。体のキレ、スピード、真っ直ぐな線と回転の時の力の充溢、緊張と弛緩、とにかく美しい。鷺が宙に舞うようなと陳腐な比喩まで浮んでくる。
 かつて、カバエワがそうであったように、オーラが他の選手とまったくちがう。華がある。天才と呼びたくなる所以だ。
 盆帰省電話の声の華やげり

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