Archives : 12月, 2007

ひとりぼっちがつまずく

 鼻マスク眼鏡くもりて外しけり
 西田幾多郎の孫で教育哲学者の上田薫さん宅訪問。『沈まぬ未来のために』の初校ゲラをお届けした。
 以前勤めていた出版社で上田先生の本を手がけていたのだが、会社倒産の憂き目に遭い、已む無く断念せざるを得なかった。
 春風社を起こしてから、春風倶楽部への原稿をお願いしたりはしていたが、今回、予期せぬことに、先生のほうから声をかけてくださり、来年の米寿を記念して、思想の集大成とも言うべき本を刊行することになった。エッセイだけでなく、短歌、俳句、詩も含まれる。
 先生の思想を読み解くキーワードは、ひとりぼっちとつまずきということであるようだ。
 ひとはつまずくことによってしか学ばないと先生は語られる。戦場において人間の限界をまざまざと知ったという体験から発せられる言葉であろう。またひとりぼっちについては、
 一人ひとり抱きしむごときを重ねたりひとりぼっちを生かしむるため
の歌がある。
『沈まぬ未来のために』は来年四月刊行の予定。
 鼻マスク眼鏡くもりて息を止め

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気功の効果(ピアノの先生篇)

 奥邃をメールで伝える師走かな
 知人の知人がピアノの先生で、背骨ゆらゆらと気功を始めてひと月が経過し、目に見えて効果が現れてきたそうです。知人からメールをいただきましたので、紹介します。
 気功を始めてちょうど1ヶ月。毎日、就寝前に必ずやってから寝ることにしています。時間がゆるすときは朝も。
 ピアノを教えているせいか、腱鞘炎がひどくて、7、8年前から定期的に整体に通っています。先日おとずれたときのこと、わたしの立ち姿を見た先生の第一声が「あらぁ、体のラインがきれいになったわね」でした。そんなことを言われたのは初めてで、先生は、整体の効果と思われたご様子でした。
 腱鞘炎は整体のおかげで治りましたが、ペダルを踏む足のふくらはぎと鍵盤をたたく指から腕にかけての肩こりはなかなか治らず、先生がツボを押さえる度に痛くてたまりません。ところが、先日おとずれたときは不思議なくらい全く痛くありませんでした。これはわたしにしか分からない感覚ですが、自分が確実に変わったと感じました。
 お腹周りもスッキリし、顔色が良くなったとも指摘されました。
「すべては骨盤からくる」と整体の先生からも言われていましたので、円功を合わせての捻動はかなり効果があると実感できます。これからもつづけていこうと思っています。
 ともかくも税金納める年の暮れ

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*台湾を旅行した友人から写メールを送られる。

政治家

 咳のひと顔ごときんちゃく被せたし
 固定資産税やら年金やら保険料やら税金が今月は十万円を突破。なんなんでしょうね。いやんなります。
 テレビをつければ着服、着服、挙句の果ては、謝罪会見で着席して説明させていただきますと言うべきところを、着服して説明…と言い間違えるなど、もう笑うしかありません。
 政治家はどこへ行ってしまったんでしょう。田中正造さんのような筋の通った、まっとうな人はいないものですかね。
 中華街寿司を食して風邪引けり
 悴みて邃の字打ったり新ケータイ

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*台湾を旅行した友人から写メールを送られる。

りんごのほっぺ

 網タイツミニスカすかし頬真っ赤
 京浜東北線のホームへの階段の数歩先、目の前を美脚の女性が歩いていました。こんなに寒いのに凄いな、でも、カッコいいな、セクシーだな、なんて。
 ホームに立つと、浜の風か、ぴゅーぴゅー顔や首筋にまとわりついてきます。ふと見れば、頬を赤く染めた娘さんがわたしの隣りのレーンに並んでいます。服装を見、さっきの美脚の女性と気づきました。首から下はカッコいいしセクシーだけど、頬がりんごのほっぺではどうなの、と思いましたが、ファッションが寒さより優先される師走であるかと納得。
 電車内咳に挟まれ立ち往生
 咳を避け三歩あるいて咳を浴び

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奇跡の4分30秒

 邪気ありて己つ知らずや寒空の下
 サラ・マクラクランの『サーフィシング』に入っている「エンジェル」に滂沱の涙を流したことはすでにここに書いたが、その後も、毎朝出社前に聴き、良い気に浸っている。
 ときどきはまだ目の奥がジーンとなることもあるけれど、最初に聴いたときほどではない。落ち着いて聴けるようになった。
 4分30秒。終わると、ふーと溜め息が出る。大げさに言えば、3秒速くても遅くても歌の印象は変わってしまうかと思われる。それほど完璧で奇跡の4分30秒なのだ。
 サンタナとやったライブのも聴き、それはそれでお客さんの大歓声に応えるようにして歌い素晴らしいし、爽やかでもあるが、次元が違う。
『サーフィシング』の録音のときの彼女の状態が特別のものだったのではないかと想像する。なんともやさしく慈愛に充ちた声だ。ゆっくり、たっぷりした声に導かれ、一段一段階段を上っていき、今自分が生きている場所を上から静かに眺めているような気分になる。そういう場所でしか生きられない人間なのだと納得させられるような、でも、諦めないでと励まされる。奇跡と呼びたくなる所以だ。
 毒吐いて一夜眠るも寒の雨

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。