モバイル辞典

 寒空や煙の中からハイヒール
 好評の『頭山満と近代日本』だが、きのう電話で注文してきた人は「づやまみつると〜」と言ったらしい。総務の伊藤が電話を取った。一番多い間違いは「あたまやまみつると〜」。そういう状況なので『新井奥邃著作集』の新井奥邃はまず読めない。おくつい、または、おうついと読む人が多い。正しくは、おうすいです。
 ところで「邃」の字だが、これが難しい。ケータイでだれかに新井奥邃について伝えようとするとき、非常に間抜けたことになる。
「新井奥すい。すいは、あなかんむりに遂行の遂の右側を書いて、それにしんにょう」なんてなことになり、急に腰砕けなへなちょこ文になってしまう。
 ところが、先日買い換えたケータイにはモバイル辞典なるものが搭載されていて、英和、和英、国語、その他いくつかの辞典が使えるようになっている。試しに国語辞典で「幽邃」と入力してみた。「邃」の字もちゃんと出てくるではないか! 素晴らしい! さっそくコピー・アンド・ペーストで自分の作文に貼り付ける。おおおっ! ケータイの軽めのゴチック体はしょうがないとして、ちゃんと「新井奥邃」となった。ふむ。ケータイ電話のメールで新井奥邃を告げたのは日本で、いや世界で、おいらが初めてではなかろうかと一人悦に入った。
 北風も焦がして焼き鳥焼きにけり
 不審火と見遣ればいつもの焼き鳥屋

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