‘いい本’

 哲学者ひとりぽっちの年の暮れ
 『頭山満と近代日本』がおかげさまで売れ行き好調、ありがたいことです。それにつれて、『新井奥邃著作集』など、地味な既刊本も少しずつですが注文が入ってきています。これは、『頭山満〜』によって小社のことを知ってくださった方が、へ〜、こんな本も出しているのか、と他の書籍も購入してくださっているからだと思われます。はっきりとは分かりませんが、おそらく間違いないでしょう。
 大手新聞に広告を打っても、お金がかかるばかりで今はそれほどの効果が望めません。となれば、読者に喜んでいただける‘いい本’を作り、そこから裾野を広げていくしかありません。
 ‘いい本’は売れないというのがこの業界のジンクスで、それは全くそのとおりなのですが、あまり売れそうにない‘いい本’が読者の手に渡り会社が認知され、他の本にも興味を持ち、1冊でも買ってくださる方がいれば、そのほうが小出版社にとっては望ましい気がします。もともと小部数しか作っていませんから。その点、農薬や肥料を使わずに野菜やお米を作っている、こだわりの農家に近いかもしれません。

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