Archives : 7月, 2007

直し

 『ウェブスター辞書と明治の知識人』の著者に再校を送ったところ、初校での朱がほぼ完璧に直っているので感心したとのメールをいただいた。仕事としてあたりまえのことをしただけだが、うれしかった。
 わたしが鉛筆でチェックした箇所、著者が赤のボールペンでチェックした箇所、双方入り乱れており、オペレーターが直してくれたものをわたしが校正し、漏れていた箇所を再度オペレーターに頼んだ。上がってきたゲラを念のためもう一度チェックし、よしOK! となってから、著者に送った。
 細部をないがしろにすると、仕事は上手くいかない。というよりも、細部をていねいに仕上げることで気持ちも落ち着く。仕事をさせてもらっている。

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地名の由来

 保土ヶ谷の黒子の辺りに我れ住めり
 ほどがやは、いまは保土ヶ谷ということだが、かつては程ヶ谷とも表記した。地名の由来は複数説あるそうで、ウィキペディアによれば、最も有力なのは古代、旭区から保土ヶ谷区にかけて広大な榛谷御厨(はんがやのみくりや)が存在し、「はんがや」が「ほどがや」に転訛したという説らしい。
 御厨とは平安時代以来、有力な神社の所領として諸国に置かれた荘園の一種で、榛谷の地を開発した豪族が占有権を確実なものにするために伊勢神宮の神領地として寄進したことから、榛谷御厨と呼ばれるようになったとか。
「はんがや」→「ほどがや」では、少し苦しいような気がしないでもない。
 以前勤めていた東京の出版社で、Y君という大学で日本史を専攻した同僚がいた。Y君曰く、「三浦さんは保土ヶ谷にお住まいでしたよね」「そうだよ」「保土ヶ谷の地名の由来を知っていますか」「知らない」「女性の陰部を陰と書いて、ほとと言うでしょう」「ああ、ほと、ね」「ほとの谷で、ほどがや…」「ほんとかよ?」「ほんとうです」「そういえば、あの辺りに遊郭がかなりあったとは聞いているけれど…」「箱根駅伝のとき必ずテレビに映る保土ヶ谷橋を中心に国道一号線が戸塚方面へ大きく曲がるでしょ。鎌倉街道もそこで交差するはずです。両脇に丘がせり出し、上空から眺めたとしたら、まさにほと」「へ〜。詳しいね」「それほどでも」「それじゃあ、あれか。ほとほと困ったというのは、しものことで悩んだ果てということになるのか」「それは違うと思いますが」
というような珍妙な会話が交わされたことがあった。Y君はとても真面目な男だったから、まったく根拠のない話をしたとも思えない。保土ヶ谷の地名の由来は複数説あるということだから、Y君が言ったのも、その一つであろうか。

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 パナマ帽夕立ばちばち破れ笠
 イシバシと久我山幼稚園へ。由緒ある幼稚園で、園児に茶道などを通して日本文化の粋をわかりやすく伝えている。抹茶をご馳走になり、畳のいいにおいを満喫。園のすぐ傍の公園はもと松平の土地だったらしい。
 外へ出ると、予報どおりの雨が降っていた。耳元で鳴る雨音を聞きながら歩いていると、どこかへタイムスリップして素浪人にでもなった気がした。

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交差点にて

 出社の折、紅葉坂の交差点で青の信号が点滅し始め、足を速めた。反対側から少年が駆け下りてきた。すばやく振り向き、後ろをついてくる母親を急かした。母は、左手で帽子を押さえ、右手をぎゅっと握り締め、少年に遅れまいと真剣な表情で駆けてくる。短めのTシャツからはみ出たメタボリックな白い腹とりんごの芯みたいなヘソが丸見えであることなど意に介さないようであった。

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梅雨明けず

 相模野の学舎ナマ脚行き交へり
 というわけで、仕事の打ち合わせで女子大に行ってきました。女子大というのは、なんだかわくわくしますね。緊張します。眼があらぬ方向に泳がぬように注意し、ひたすら前方を直視しながら歩きました。
 研究室での先生との話し合いは、いろいろな方向に展開し、見えない糸を感じるようで楽しくもあり、あっという間の2時間半。中身については、もう少しハッキリしてから、報告します。

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。