Archives : 8月, 2007

同居人

 夜の蜘蛛わが掌中に息ひそめ
 ふと見ると、壁に張り付いていたり、床でじっと身をひそめていたり。蜘蛛です。
 見つけると、つぶさぬように捕まえて、そっとベランダに逃がしてやります。
 つぶさぬように捕まえ、と書きましたが、これが結構たいへんです。柔らかく捕まえようとすると、ピッと跳ね、追いかけて捕まえようとすると、またピッと跳ね、十数回繰り返しているうちに、机の裏側に雲隠れしたりしてしまいます。ところが近頃、そっと指を近づけると、割りと簡単に捕まえられるようになりました。仲間同士で、あいつは殺さないから平気だ、みたいな申し合わせ事項が成り立っているのかな。
 幕末の異国船や紅葉坂

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教訓

 先日、気功教室の帰り、俳句を永くされているKさんに、「少し涼しくなってきて、俳句を作るにはいい季節になってきましたね」と申し上げると、「暑いときにも寒いときにも句はできます」。はぁ、そうやって作っておられるのかと、恥ずかしくなりました。
 句作せよ暑さのなかに色もあり

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フラっぱ

 文なほし脳中ぷちぷち夏の午後
 小・中の同級生のSさんから写メールが送られてきた。「フラっぱで撮った山百合」と。
 ところで、フラっぱ… なつかしい!! 原っぱが訛ってフラっぱ。かな? ぼくの中ではちょっと違うイメージなんだけど。なんというか、平らなところでなく、丘とか崖とかの、ある傾斜をともなった草地みたいな。ん〜、わからん。Sさん、どう?
 ちなみに、きのうの花火の写真もSさん提供による。大曲の花火大会のものだそうです。
 休めし手ふたたび蠢(うごめ)く虫のごと

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愛は

 肩寄せし二人眠らず熱暑かな
 湘南新宿ライン車中でのこと。向かいの席に若き日のバルバラ風の美女が座っていた。電車というのは、たまにこういうことがあるものなのですね。
 バルバラ風の美女は少々疲れている様子。それがまた彼女の美しさをいっそう引き立てているようでもあった。美人というのはなんにしても得です。足下には大ぶりのトランク。
 彼女の隣はといえば、わたしと同じか少し年下ぐらいの男性で、いくら冷房が効いているとはいえ、この暑さの中、バルバラ風の美女を右手でグッと自分のほうに引き寄せ眼をつぶっているのであった。バルバラ風の美女はそれをどう思っているのだろう。わたしは少々興味を覚えた。
 こんなに暑いのになんで寄り添ってくるのよ。肩まで抱いて…。と、そんなふうに思っているのかと最初は思った。ところがどうもそうとばかりも言えなそうなのだ。嫌がっているふうではない。ときどき、胸を開くようにして凝りをほぐす仕草を見せるものの、暑苦しい男の手を払い除けることはしない。ばかりか、たまにはなんと男の胸のほうにしなだれかかったりもするではないか。わたしは分からなくなって、もうどうでもよくなってきて眼を閉じた。ひょっとしたら、男もバルバラ風の美女の真意を計りかね、それであんなに強く抱き寄せていたものか。もう、本当にどうでもよかった。
 肩寄せし愛に暑さが勝ちにけり
 居眠りの瞼の裏の西日かな

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観劇

 丈高き夏草影をつくりをり
 昨日は竹内敏晴演出の「八月の祝祭」を見に浜田山へ。現代の「修羅」たちのこころざしを舞台に上らせたユニークかつ大胆な試み。内容もさることながら、竹内さんの矍鑠ぶりには驚いた。齢八十を越しますます元気。舞台の途中、一度だけダメ出しをしたときの迫力ったら!
 こほろぎも惹かれ密かの閨のこゑ
 鰯雲窓辺の青き乳房かな
 美脚もてジャッカルのごと夏留め
 痩せ蛙灸する腹の白さかな
 烏追い鳶追われつつ蔦かずら

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。