ミミズが鳴く?

 せんせーせんせーせんせーと蝉鳴いて居り
 クマゼミというのは一匹が鳴き出すと競って鳴く習性があるのだとか。よって、林や森に大発生したクマゼミが集団で鳴くときには、相当のデシベルらしく、電車の高架下の音とほぼ同じというから凄まじい。
 セミが鳴くのは誰でも知っているが、亀が鳴いたりミミズが鳴くのは、俳句をやらない人にとっては思いもよらないのではないか。
 実際のところ亀もミミズも鳴きはしない。ところが俳句の世界では、春になると亀の雄が雌を慕って鳴くということで、古くから季語として定着しているそうだ。一方ミミズはどうか。
 ミミズだけなら夏の季語だが、ミミズ鳴くとなると秋の季語。亀同様、ミミズが鳴くわけはないが、螻蛄(こんな字、読めねーよ。ケラ、またはオケラと読むんだって)の鳴く声と取り違えそのまま季語になり、修正もされず今に至ったものらしい。でも、鳴くはずのない亀やミミズが鳴く姿を想像するのは楽しい。俳句は科学ではないから○なのだろう。
 幽霊も花火の後の闇夜かな
 熱帯夜サイレンの音遠ざかり
 赤羽のビル群黙り蚯蚓鳴く
 秋深し夜更けてチャイムの音聞けり

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